2012年3月7日水曜日

Mar.07 (Wed) .2012

◆ 日経拾い読み


  • 公務員、遠い抜本改革・・・採用削減、09年度比4割超 政府、消費増税対策を先行
政府は6日の行政改革実行本部(本部長・野田佳彦首相)で、2013年度の国家公務員の新規採用を09年度比で4割超削減する方針を決めた。国家公務員の給与を12年度から2年間、平均7.8%引き下げる特例措置に続き「消費増税対策」の色彩が濃い。民主党が掲げた公務員制度の抜本改革も遠のいている。

公務員改革と一言でいっても、公務員制度や公務員への支出内容のどこに問題があるのかをはっきりさせて、そこに手を打たないと具体的な効果は得られずトカゲの尻尾きりに終わる。採用削減にしても同様で、もともと自公政権時に8000人程度だった新卒採用数を2000~3000人減らしたところで一つの効果にはあげられるかもしれないが、中長期的に見れば年齢別の人員バランスがくずれて組織の弱体化を生みやすい。

本当にメスを入れるべきなのは地方公務員や独立行政法人、特殊法人、認可法人、特別民間法人、外郭団体などの天下り先への人員や税の投入であろう。国家公務員は56万人程度に対して地方公務員は230万人強。ここに27兆円の人件費がかかっているが、ここまでが一般的に公務員数や公務員人件費で取り上げられる数字なのだが、問題はここに出てこないそれ以外の準公務員への支出である。

企業においてもリストラの一環で人件費の削減をする際に、目眩ましをするやり方として外部委託を増やしたり子会社への出向などで企業本体の人件費を「見た目上」下げる手法があるが、これと同様に、公務員も正規公務員から準公務員へと転出させて見た目上の公務員数や公務員人件費を下げているような見せ方をしている。そして準公務員数の実態は公になっていないので実際には何人いていくら給与を支払っているかが掴みづらくなっている。公務員といっても実際には事業収入で人件費を賄っているNTTや日本たばこ産業などもあるが、そういった事業会社を除いても公務員数の300万人弱を上回る数の準公務員が存在するといわれているので、明らかに公務員への支払人件費は50兆円を超えていると思われ、これだけで税収を超えている。民間企業でいえば、売上から原価を引いた粗利益よりも人件費が上回っている状態で、普通なら倒産している。

だから政府は早期に抜本的な公務員改革法案を成立させなければならないのだが、そのやり方としては天下りを禁止するといった対症療法的な政策ではなく、公務員サービスの中身と役割の見直しや、中央と地方の二重行政の廃止、地方においては広域行政サービスへの統合により単一自治体でのサービスを廃止するなど、トータルの公務員サービスに係る全体経費への改革が求められているのだ。


  • 東西の電気周波数、統一ならコスト10兆円
経済産業省は6日、東西日本で異なる電気の周波数を統一した場合、電力会社の設備交換だけで約10兆円のコストがかかるとの試算をまとめた。東日本の50ヘルツを60ヘルツに統一する場合を想定し、発電機などの交換費用を算出。工場のモーターなど需要家側も対応投資が必要なことも指摘した。
めんどくさいからやりたがらない官僚の言い訳のような報告が出ているが、長期的にみれば10兆円かかっても大したコストではなく、ここで出ていない周波数統合によって得られる経済メリットを加えれば回収可能なものに思われる。電気製品を作っている企業にしても周波数が統一されれば部品の単価は下げられるし、機器の切り替えによる新たな需要も生まれるから補助金の投入は必要になるにせよ、道路や新幹線を今さら整備するよりもはるかにメリットの大きな公共事業になる。


  • アサヒのビール風味飲料「ドライゼロ」 飲食店、年内20万店に 
アサヒグループホールディングス傘下のアサヒビールは2月下旬に売り出したアルコール分0%のビール風味飲料「ドライゼロ」を取り扱う飲食店を現在の約3万店から年内に20万店まで増やす。小路明善社長が明らかにした。成長が続くノンアルコールビール市場で競合他社より出遅れていたが、家庭向けの商品と並行して業務用市場を開拓して巻き返す。
飲酒運転事故などが社会問題化したり、酒税の引き上げなどで低アルコール=低価格化へ需要がシフトしているのでノンアルコール飲料が伸びていくのは当たり前だが、一方で酒税の低いこういった飲料構成比が伸びればまた酒税収入は減っていく。たばこも大幅値上げで喫煙者減少に拍車がかかり、たばこ税収入も減少しているが、過去は税収の半分を占めていた時期もあった酒税が、いまでは年間1兆円台で構成比もヒトケタに落ち込んでいる。そういう意味では税制そのものも見直しが必要になってきているわけで、伸びている業界に掛ける税金としては「パケット通信税」とかが誕生するのかもしれない。

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