2012年3月10日土曜日

Mar.10 (Sat) .2012

◆ 日経拾い読み


  • 封印された「炉心溶融」 事故翌日に言及、担当者交代・・・福島第1原発事故 対策本部議事概要
政府が9日に公表した原子力災害対策本部の議事概要で、昨年3月11日の東日本大震災直後から東京電力福島第1原子力発電所事故での炉心溶融(メルトダウン)の可能性を想定していたことが明らかになった。菅直人首相らは早い段階で、最悪の原発事故にもなりうるとの危機感を共有していたが、こうした認識は対外的には公表されていなかった。事故に関する一連の記者会見では炉心溶融という表現を避けており、国民への情報発信の姿勢が改めて問われることになりそうだ。(肩書は当時)
未曾有の天災に見舞われたということで、初動に多少の混乱があったことは責められないとは思うが、原発事故への対応や議事録未作成などといったものは不手際を責められてしかるべきだ。原発事故への説明についてはその内容によっては国民にパニックをもたらすリスクがあり、表現には細心の注意が必要だったとは思うが、だからといって事実を隠蔽していいということではない。おそらくは当時官房長官だった枝野氏が「絶対大丈夫」と言い切ってしまったので、後々判明してきた事実を公表したくともできないジレンマに陥ったのではないかとも思える。

原発事故での拡散放射能の影響は今後数年以上経たないと発現しないが、当時の政府の事なかれ主義的な発表に事態を軽視して結果発病するようなことがあれば、当時の政府対応の問題が再度論じられることだろう。議事録を作成していないことについても、明らかに後からの責任追及を回避したい表れとしか思えず、今後の国家危機の際の対応検討に活かせないことにもつながり、ただ謝罪すればよいという問題ではないと感じる。


  • 大王製紙、来春入社の新卒採用中止
大王製紙が2013年4月入社の新卒採用を中止したことがわかった。新卒採用の募集に関し説明会を実施済みだったが、応募した学生に採用を見合わせると通知した。採用を取りやめた理由は「社内事情のため答えられない」(広報担当)としている。昨秋発覚した前会長の巨額借り入れ問題に絡み収益が悪化しており、人件費削減も狙いとみられる。
お家騒動もいい加減に決着させないと、自社内だけの影響にとどまらず社会的なダメージや株主・金融機関からの突き上げをくらうだろう。巨額粉飾が発覚したオリンパスとは問題が異なるが、どちらも企業経営が不透明で密室談合政治をしているような印象を拭えないので、そういった点を改善する方向性を見せないと信頼回復は難しいだろう。

2012年3月9日金曜日

Mar.09 (Fri) .2012

◆ 日経拾い読み


  • 予算案が衆院を通過 消費増税巡る攻防本格化
一般会計総額90兆3339億円の2012年度予算案が8日の衆院本会議で、与党などの賛成多数で可決、参院に送付された。予算案は参院の議決がなくても憲法の衆院優越規定により4月6日に自然成立する。来年度予算案の成立が確実になったことで、消費増税関連法案をめぐる与野党内の攻防が本格化する。
復興関連予算を加えると96兆円規模で過去最大。今の予算は赤字国債の発行なしでは執行できないので、赤字国債発行法案が承認されないと予算が成立しないが、現時点で赤字国債発行法案の可決見通しは立っていない。特に今回政府は震災絡みで復興債を起債しようとしているが、そこに赤字国債分を付け回ししようとして野党から追求を受けている。赤字国債発行法案には消費増税法案が含まれるから今後消費増税を巡って政局化する可能性が高いが、首相が伝家の宝刀を抜いて衆院解散するまではいかない気がする。
どのみちここで衆院解散されたところで、国民は投票先を選びようがないだろう。


  • タブレット端末、1億台時代へ 新iPad 16日発売・・・企業・学校・家庭に浸透 広がる用途、パソコン猛追
米アップルが16日に日米など10カ国・地域で第3世代となるタブレット(多機能携帯端末)「iPad(アイパッド)」の新機種を発売する。高精細ディスプレーと動画処理能力の高い半導体を搭載。高速携帯電話の通信網に対応する。タブレットは2012年に世界出荷が1億台を超えるとみられ、インターネット端末としてパソコン、高機能携帯電話(スマートフォン=スマホ)に次ぐ地位を確立しつつある。
パソコンは以前はネットやソフトウェアを操作するのに必須とされており、その習得も結構大変だったが、タッチパネルで簡単に操作できるスマホやタブレットは敷居が低いので、子どもや高齢者などが初めて触るのにはとっつきやすく、今後もさらに伸びていくだろう。一方でパソコンは既に一定の役割を終えた感があり、タブレットなどでは物足りなくなった層や業務用などでの使用用途に狭まっていき、市場自体は収縮していくと思われる。


  • 全日空、格安台頭でも接客で勝負 社内コンテスト開催
全日本空輸は8日、国内空港で働く接客業務担当者の社内コンテストを開催した。予選を勝ち抜いたスタッフが笑顔で接客スキルを披露、今後の全社的なサービス向上に役立てる狙いだ。最近は格安航空会社(LCC)の台頭が目立つが、全日空は「フルサービスキャリア」としての品質向上につなげる。
LCCを立ちあげている全日空自身が子会社と張り合ってもしょうがないような気がするが、得てして価格やサービスでの競争を横において接客を前面に出してくる企業はどこも衰退している。商品を買う場合の最大要因は価格だから、全日空本体においてもコスト競争力を高める努力が求められるだろう。

2012年3月8日木曜日

Mar.08 (Thu) .2012

◆ 日経拾い読み


  • 首相、消費増税法案の修正に含み・・・低所得者対策など想定
野田佳彦首相は7日、内閣記者会とのインタビューで、今国会最大の焦点である消費増税関連法案について「期限を守りたい」と述べ、今月中の国会提出を明言した。法案提出後も野党に協議を呼びかける考えも表明した。「議論していけばお互い納得できる合意形成の素地はある」と法案修正に含みを残した。
経済弾力条項を追加することで、なんとか法案自体を成立させたい首相だが、低所得者対策追加や景気悪化の場合に増税を停止するなどといった施策では仮に法案が通って増税しても経済は悪化するだけだろう。緊縮財政(といっても緊縮できていないが)と増税をセットでやるバカはいないと思っていたが、今の政府は本当にやろうとしているのでたちが悪い。


  • パートの社会保険適用拡大、政府最終案に民主内から異論 政調会長「20万人より多く」
民主党内で7日、政府が検討しているパート労働者への社会保険(厚生年金・企業健保)の適用拡大について意見が相次いだ。民主党の前原誠司政調会長は適用拡大に理解を示したが、企業の負担増を懸念する党経済産業部門会議の議員からは、法案提出の先送りを要求する声が上がった。
これも愚策だが、低所得者と企業から年金財源を巻き上げようとするのは一人当たりの徴収額も支給額も低くなるから一人当たり事務コストが上がって非効率になるばかりだ。そして企業は負担増になったコストを価格やサービスに転嫁するから景気悪化要因にもなる。国会議員自らの議員年金や公務員の共済年金など厚生年金や国民年金よりもはるかに厚遇された年金や保険組合からの条件取り崩しをさせたほうが手間もかからないし国民全体の不公平感も中和できる。


  • 関係先捜索の「2ちゃんねる」 運営権海外に、責任者は不明
インターネットの総合掲示板「2ちゃんねる」の関連先とみられる企業に警視庁が家宅捜索に入っていたことが7日、明らかになった。匿名・登録無用で利用できる「2ちゃんねる」はその手軽さから根強い人気を保っているが、運営権は海外企業に譲渡されており、管理責任の所在が不明確になっている。
報道するからには摘発されないと、2ちゃんねるが有効なツールと認識されて新たな情報源提供者が増えるだけのような気がする。

2012年3月7日水曜日

Mar.07 (Wed) .2012

◆ 日経拾い読み


  • 公務員、遠い抜本改革・・・採用削減、09年度比4割超 政府、消費増税対策を先行
政府は6日の行政改革実行本部(本部長・野田佳彦首相)で、2013年度の国家公務員の新規採用を09年度比で4割超削減する方針を決めた。国家公務員の給与を12年度から2年間、平均7.8%引き下げる特例措置に続き「消費増税対策」の色彩が濃い。民主党が掲げた公務員制度の抜本改革も遠のいている。

公務員改革と一言でいっても、公務員制度や公務員への支出内容のどこに問題があるのかをはっきりさせて、そこに手を打たないと具体的な効果は得られずトカゲの尻尾きりに終わる。採用削減にしても同様で、もともと自公政権時に8000人程度だった新卒採用数を2000~3000人減らしたところで一つの効果にはあげられるかもしれないが、中長期的に見れば年齢別の人員バランスがくずれて組織の弱体化を生みやすい。

本当にメスを入れるべきなのは地方公務員や独立行政法人、特殊法人、認可法人、特別民間法人、外郭団体などの天下り先への人員や税の投入であろう。国家公務員は56万人程度に対して地方公務員は230万人強。ここに27兆円の人件費がかかっているが、ここまでが一般的に公務員数や公務員人件費で取り上げられる数字なのだが、問題はここに出てこないそれ以外の準公務員への支出である。

企業においてもリストラの一環で人件費の削減をする際に、目眩ましをするやり方として外部委託を増やしたり子会社への出向などで企業本体の人件費を「見た目上」下げる手法があるが、これと同様に、公務員も正規公務員から準公務員へと転出させて見た目上の公務員数や公務員人件費を下げているような見せ方をしている。そして準公務員数の実態は公になっていないので実際には何人いていくら給与を支払っているかが掴みづらくなっている。公務員といっても実際には事業収入で人件費を賄っているNTTや日本たばこ産業などもあるが、そういった事業会社を除いても公務員数の300万人弱を上回る数の準公務員が存在するといわれているので、明らかに公務員への支払人件費は50兆円を超えていると思われ、これだけで税収を超えている。民間企業でいえば、売上から原価を引いた粗利益よりも人件費が上回っている状態で、普通なら倒産している。

だから政府は早期に抜本的な公務員改革法案を成立させなければならないのだが、そのやり方としては天下りを禁止するといった対症療法的な政策ではなく、公務員サービスの中身と役割の見直しや、中央と地方の二重行政の廃止、地方においては広域行政サービスへの統合により単一自治体でのサービスを廃止するなど、トータルの公務員サービスに係る全体経費への改革が求められているのだ。


  • 東西の電気周波数、統一ならコスト10兆円
経済産業省は6日、東西日本で異なる電気の周波数を統一した場合、電力会社の設備交換だけで約10兆円のコストがかかるとの試算をまとめた。東日本の50ヘルツを60ヘルツに統一する場合を想定し、発電機などの交換費用を算出。工場のモーターなど需要家側も対応投資が必要なことも指摘した。
めんどくさいからやりたがらない官僚の言い訳のような報告が出ているが、長期的にみれば10兆円かかっても大したコストではなく、ここで出ていない周波数統合によって得られる経済メリットを加えれば回収可能なものに思われる。電気製品を作っている企業にしても周波数が統一されれば部品の単価は下げられるし、機器の切り替えによる新たな需要も生まれるから補助金の投入は必要になるにせよ、道路や新幹線を今さら整備するよりもはるかにメリットの大きな公共事業になる。


  • アサヒのビール風味飲料「ドライゼロ」 飲食店、年内20万店に 
アサヒグループホールディングス傘下のアサヒビールは2月下旬に売り出したアルコール分0%のビール風味飲料「ドライゼロ」を取り扱う飲食店を現在の約3万店から年内に20万店まで増やす。小路明善社長が明らかにした。成長が続くノンアルコールビール市場で競合他社より出遅れていたが、家庭向けの商品と並行して業務用市場を開拓して巻き返す。
飲酒運転事故などが社会問題化したり、酒税の引き上げなどで低アルコール=低価格化へ需要がシフトしているのでノンアルコール飲料が伸びていくのは当たり前だが、一方で酒税の低いこういった飲料構成比が伸びればまた酒税収入は減っていく。たばこも大幅値上げで喫煙者減少に拍車がかかり、たばこ税収入も減少しているが、過去は税収の半分を占めていた時期もあった酒税が、いまでは年間1兆円台で構成比もヒトケタに落ち込んでいる。そういう意味では税制そのものも見直しが必要になってきているわけで、伸びている業界に掛ける税金としては「パケット通信税」とかが誕生するのかもしれない。

2012年3月6日火曜日

Mar.06 (Tue) .2012

◆ 日経拾い読み


  • 議員給与、年300万円削減 民主、期間は野党と調整
民主党は5日の役員会で、国会議員の給与にあたる歳費について、1人当たり年額300万円を削減する方針を確認した。ボーナス2回を含めて国会議員1人が年間に受け取る歳費約2100万円の14%に相当する。近く野党に提案する。削減期間は「当面1年」としているが、野党と調整する。消費増税関連法案の月内提出に向けた環境整備の一環。

14%と聞けばかなりの削減に見えるが、国会議員の給与は歳費以外にもいろいろある。

1)月額給与         1301000円(年間 15,612,000円)
2)ボーナス          6354480円(年間  6,354,480円)
3)文書通信交通滞在費   100万円(年間 12,000,000円) ※非課税

小計                    年間 33,966,480円

今回は1)と2)の合計に対して14%削減といっているので、3)を加えると実質10%弱だ。

さらに国会議員にはこれ以外にももらっている。
4)公設秘書給与(3名まで)      年間 27,000,000円 ※平均

そして、公設秘書は国家公務員扱いなのだが、今回の国家公務員給与引き下げ法案での7.8%削減の「対象外」となっている。

まだまだある。これは国会議員本人に入るわけではないが、政党に対して国会議員の数などの割合に応じて政党助成金が交付されている。

5)政党交付金 国民一人当たり250円 = 319億円
これを国会議員数で割ると 319億円÷722人≒44,000,000円

1)から5)の合計 = 1億496万6480円

つまり、国会議員一人にはこれだけのコストがかかっている。これ以外にも議員特権でJR全線が無料、航空機が月4回まで無料など、目に見えないコストも含めるとさらにかかっているが、これらはすべて税金から賄われている。歳費の削減のみならず、議員定数の削減も含めて「身を切る」姿勢を見せないと、国家公務員も納得はしないだろう。


  • プーチン氏と電話協議 首相、北方領土に言及 ・・・「2人で英知ある解決を」
野田佳彦首相は5日、ロシア大統領選で当選したプーチン首相と電話で協議し「北方領土問題について、プーチン首相との間で英知ある解決に取り組みたい」と述べた。領土問題の解決に意欲を示すプーチン氏の指導力に期待するが、4島返還を求める日本と、ロシアの隔たりは大きい。

プーチン氏は過去のソ連、ロシア指導者のなかでは比較的親日にみえるが、北方領土問題の解決においても幾度か発言していることからも、解決機運が高まっている。
北方領土は歯舞、色丹、国後、択捉の4島を指すが、もともとは1855年に日露で日本領としていたものを、第二次世界大戦後にソ連(ロシア)に実効支配され、現状も続いている。
外交上では1956年の日ソ共同宣言で歯舞・色丹を日本に引き渡す話になっていたが、1960年に日本が日米安保条約を改定したことにソ連が反発し、膠着状態が続いている。

北方領土の返還パターンについては、

1) 4島返還
2) 3島 (歯舞・色丹・国後)+択捉島の一部を返還 ・・・面積2等分案
3) 3島(歯舞・色丹・国後)返還
4) 2島(歯舞・色丹)返還

があり、日本が外交的に主張しているのは1)で、ロシアが外交的に認めているのは4)である。
そこで、国内では先に双方の利害が一致する4)を実施し、その後残りの2島の返還交渉を行なっていく案も出ており、決着させるにしてもどの案でいくのか非常に悩ましい。
ロシアが北方領土を返還しない、特に国後・択捉島を返還しない最大の理由は軍事的なもので、オホーツク海から外界へ出る航路の最大のものが国後・択捉島の間にある国後水道だからだ。
日本が軍事的にはアメリカに支配されているため、ロシアとしては国防上ここの制海権に影響を与える4島返還にはまず応じないだろう。北方領土問題を多少なりとも進めるにはまず4)を実行するかどうかにかかっている。あまり先送りすると北方領土に住んでいた人たちもいなくなってしまい、問題が風化する可能性もある。

  • ネット規制対立激化 ・・・新興国、「管理」狙い攻勢 先進国、自由確保へ防戦
インターネット情報の規制を巡り、新興国と先進国の対立が激化している。中国やロシアなどは国家による規制と管理強化を狙い、国際的な枠組み構築を狙う。中東の民主化運動「アラブの春」の波及を恐れる途上国は中ロに同調する構えを見せており、ネット上で情報の自由なやり取りを続けたい先進国は防戦一方だ。

対立の構図は日米欧が自由化、中国・ロシアは国家規制派、新興国や途上国は規制派に同調といった感じになっている。もともとインターネット技術はアメリカの軍事技術から派生しているため、IPアドレスを発行する国際非営利団体も実質的にはアメリカ商務省が握っており、アメリカのインターネット支配に対して中国・ロシアが反発しているのが実態だ。最近のアラブ諸国での解放運動などもツイッターやフェイスブックなどネットでのやり取りで民衆が蜂起したことから、権力者側はネットの完全自由化には否定的になっているが、国ごとの規制ができてしまうとインターネット本来の良さも失われるし、特にネットビジネスをしているIT企業ではグローバル展開に支障をきたすだろう。ただネット犯罪への各国での法統制はバラバラで足並みが揃っていないことも問題としてあるので、何がしかのガイドラインの作成は必要だと思われる。

  • 小沢元代表、大阪入り 橋下氏と接触図る?
民主党の小沢一郎元代表=似顔=が4、5両日に大阪市に入った。野田佳彦首相と自民党の谷垣禎一総裁による極秘会談を受けて浮上した与野党第1党のトップ同士で衆院解散の時期を決める「話し合い解散」に警戒を強めており、次期衆院選をにらんで「橋下徹大阪市長に接触を図ったのではないか」との見方が出ている。

仮に小沢氏が橋下氏と会っていたとすると、政府が消費増税法案を強行して自民党と組んで採決し、衆院解散しようとしたときに小沢グループが造反するぞ、という牽制なのだろう。野田首相も谷垣総裁と会うよりも小沢氏と会って話をすべきなのだが、どういうわけなのか自らは動こうとしない。そこに民主党内の暗部があるのだろう。

2012年3月5日月曜日

Mar.05 (Mon) .2012

◆ 日経拾い読み


  • 政権戦略、混迷の自民 ・・・話し合い解散・大連立・対決… 中堅・若手からは総裁交代論 
自民党内で野田佳彦首相と谷垣禎一総裁の極秘会談を機に政権獲得戦略の対立が浮かび上がってきた。執行部は衆院解散時期を約束させる代わりに消費増税関連法案に協力する「話し合い解散」を探る。対決を訴える中堅・若手は反発し、谷垣氏の交代論に触れる。民主党との大連立論も再燃しており、党内は混迷を深めている。
谷垣氏では衆院選が戦えないといった中堅・若手議員からの突き上げ、そして前回落選し復活を目指して活動する元議員などからの反発が強まっている。自民党は長く政権与党にいて、本格的に野党に下ったのははじめてだからかもしれないが、民主党への追求にしても「われわれも以前与党だったので大変なのはわかります」のような配慮をした発言が多く、そこが民主党議員の甘えを生んでいる。一部には野党議員らしく厳しく追求できる自民党議員もいるが、多くはこれまで自民党に属していなかった新しい議員に多く、古参の議員は委員会質疑にもほとんど出てこようとしない。 とはいえ、中堅・若手議員においても谷垣総裁に代わるだけの人材は出てきているのかというと、おそらくは石破議員や石原幹事長あたりを担ぐのが関の山だろう。

大阪の橋下市長は国会議員に対しても言いたい放題で、国会がちゃんと仕事していないから維新の会から国会議員を出すとまで言われている。それに奮起して維新の会以上に精力的に国家の問題を取り上げ、問題提起し、解決の方向性を打ち出そうとする政策集団や政治家は生まれてこないものなのか。
未だに石原新党だとか、小沢グループだとか、これまでの有力政治家の名前で政治が動いているわけだが、この現状を打破する勢力を誰かが作らないと道は開けないだろう。橋下氏は確かに行動力もあるし弁舌も明快で仮に国政に出たとしてもそれなりの活躍はするとは思うが、彼よりももっと質の高い政治を志していてその能力も合わせ持った政治家は国会にもたくさんいるような気がする。

2012年3月3日土曜日

Mar. 03 (Sat) .2012

◆ 日経拾い読み


  • AIJ運用委託、社保庁人脈で広がる・・・OBの勧誘きっかけ 複数の年金基金にも天下りOB
AIJ投資顧問による年金消失問題をめぐって、旧社会保険庁(現日本年金機構)のOB(74)がAIJの販路拡大に深くかかわっていたことが2日、判明した。このOBが経営するコンサルティング会社が投資顧問会社のAIJとコンサル契約を締結。運用経験の乏しい社保庁出身者が天下りした先の厚生年金基金に、AIJへの運用委託を勧めた。社保庁出身者のネットワークで高い利回りをうたったAIJの事業が急拡大していった構図だ。
案の定というか、天下りOBが関与していた。まあ、社保庁の問題が大きくなるのは歳入庁の立ち上げを目論む陣営としては追い風だから、マスコミも社保庁叩きに走る可能性は高い。


  • 話し合い解散、信頼の壁 ・・・首相、増税法案賛成の保証を 谷垣氏、首相の確約と引き換えに
野田佳彦首相と自民党の谷垣禎一総裁による極秘会談を契機として、与野党第1党のトップ同士で衆院解散の時期を決める「話し合い解散」に与野党内で関心が強まってきた。消費増税実現へ自民党の協力を得たい首相と、早期解散を優先する谷垣氏の思惑が一致するからだ。2人の信頼関係が成否のカギを握るが、ともに相手の要求を実現する「保証」を与えられていない。
民主、自民の大連立も画策していると報じられているが、これは石原新党、みんなの党と大阪維新の会など第三極への牽制の意味もあるだろう。しかしながら、現状の政府の国家運営では日本は良くならないと訴えられれば、民主・自民とともに国民からは十把一絡げで見られる可能性があるので、次期衆院選をにらんでどういう方針を打ち出すのかを明確にしないと、維新の会がマニフェストを正式に掲げてからでは後付けの対策という批判を受けるだけだろう。


  • 復興交付金1次配分決まる 申請の6割に、自治体不満 宮城知事「査定庁」語気荒らげ 復興相「無駄なもの作らない」
復興庁が2日に決めた復興交付金の初回配分が被災地に波紋を広げている。市町村の申請額に対して交付額は6割にとどまり、自治体から不満が出ている。平野達男復興相は「無駄なものは作らない」と強調しており、国と被災自治体との間で認識に溝ができてきた。
もともと想定されていたことだが、復興庁と自治体がバトルしている。どこも自分のところの復興策を100%通したいところだが、それが通らないと首長自身の政治力の無さを疑われるので、今後も軋轢を生み続けるのは間違いない。復興庁にしても、検討事案を公表して予算の可否やその理由を明示するなどして審査過程を透明化するといった工夫をしないと、たんなるお役所仕事として批判を甘んじて受けるよりほかない。


  • 年金、集中投資を制限 政府・民主検討・・・総資産の3割軸に AIJ問題、再発防ぐ 
AIJ投資顧問による年金消失問題をふまえ、政府・民主党は2日、厚生年金基金の運用規制を見直す方向で検討に入った。運用委託先が特定の投資顧問会社に集中するのを防いで分散投資を促す。1社に運用委託する割合に上限を設け、総資産の3割以上の集中投資を禁止する案を軸に調整する。年金運用のリスク管理を強化し、再発防止につなげる。
運用を見直すのはいいが、こういう問題を引き起こす可能性が高いのは中小企業の年金運用に問題が生じているからであり、そこに対して国の支援をセットでしていかないと、単なる年金の運用先を減らすだけでさらに中小年金が苦しむハメになる。


  • 東京地検、組織的と判断 オリンパス粉飾・・・法人も起訴へ 
オリンパスの粉飾決算事件で、東京地検特捜部は2日までに、法人としての同社を金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の罪で起訴する方針を固めたもようだ。同社前社長、菊川剛容疑者(71)ら当時の経営陣が主導した巨額の粉飾が組織的行為だったと判断した形。菊川前社長や、不正経理を指南したとされる証券会社OBらが勾留期限を迎える7日に、併せて刑事処分するとみられる。
こういった粉飾が起きた際に、「取締役会や監査法人は機能していないのか?」という議論が常に沸き起こるが、そもそも有価証券報告書の作成には多くの企業では財務・経理部門と経営企画部門、そして社長など取締役のなかでもトップと財務経理担当役員で内容のやり取りをすることが多く、少数で決算の方針が決まってそれが取締役会に提出されるから、他の取締役の牽制が働きにくい。それは財務や経理、会計といった知識を多くの取締役が持ちあわせていないことも理由にあるが、このへんの根本的な企業経営上の問題点をどうにかしないとどのような規制を加えようが、大きくは変わらないだろう。

2012年3月2日金曜日

Mar.02 (Fri) .2012

◆ 日経拾い読み


  • 首相、谷垣氏と先月極秘会談 反増税の小沢系けん制 ・・・「話し合い解散」動揺誘う
野田佳彦首相と自民党の谷垣禎一総裁が2月25日に極秘会談していたことが明るみに出た。首相は命運をかける消費増税関連法案の今国会成立を期し、局面打開を探った。自民党との「話し合い解散」をにおわせ、小沢一郎元代表ら民主党内の消費増税反対派をけん制する。関連法案の国会提出を予定する月末に向けた駆け引きは激しさを増してきた。
当人たちは会談を否定しているが、ここまでマスコミに書かれるのなら事実なのだろう。首相としては、党内の小沢グループに消費増税法案を賛同をもらわずとも自民党と手を組んで通せるのなら都合がいいわけで、民主党内で一致して通すか、自民と手を組んで通すかといった選択肢を増やせるメリットがあるが、自民党にとって増税法案に賛成して解散総選挙に持ち込むということへのメリットが何なのかよくわからない。選挙戦になれば、他党からは「民主党と結託して国民負担を増やそうとした」と言われるのは明白で、自民議員にとっては民主党との差別化がより図りにくくなるわけで、谷垣総裁の党内への説明が求められるだろう。

そもそも極秘会談というのは、漏れないことが前提で行われるべきで、後々説明が必要になる行動ならば最初から表立って会えばいいわけだし、こういった形でリークするメリットがあるのは民主党だから、谷垣総裁は今回のように表沙汰になることは想定せずに会ったフシもある。

2012年3月1日木曜日

Mar.01 (Thu) .2012

◆ 日経拾い読み


  • 北朝鮮、ウラン濃縮停止・・・米朝合意、核・ミサイル実験凍結 IAEA監視受け入れ
米国務省は29日、北朝鮮がウラン濃縮活動の停止を含む核関連活動の凍結で合意したと発表した。ウラン濃縮の停止の検証と監視のため国際原子力機関(IAEA)の査察官の復帰も受け入れるとしている。米側は北朝鮮が求めてきた食糧支援の実施に向けた最終調整に入る。北朝鮮側も同様の発表をしたが、細部の解釈や認識には違いもみられる。
内容としては、北朝鮮の核活動の「臨時中止」とアメリカからの食糧支援の「予定」が双方から発表されたということで、半歩は進んだのだろうがまだ先行きがどうなるかはわからない。まずはお互いジャブを出しあって様子を見たくらいのレベルだろう。


  • 首相・谷垣氏が極秘会談の情報・・・25日昼、両氏は否定
野田佳彦首相と自民党の谷垣禎一総裁が先週末の25日昼に会談していたとの情報が29日、与野党内で流れた。同日の政府・民主三役会議に出席した党幹部によると、藤村修官房長官は「外(向け)には会っていないということだ」と説明した。
この日は党首討論で互いに議論していたが、本当に当人同士が会っていたのなら谷垣氏としては非常にまずい立場に追い込まれるだろう。野田総理も消費税増税法案についての協力を谷垣氏に要請していたとすると、与党内で反対している小沢氏グループや国民新党などから突き上げをくらう。


  • 格安航空ピーチ、バス並み運賃で挑む・・・きょう就航、日本定着への試金石に
全日本空輸などが出資する格安航空会社(LCC)ピーチ・アビエーションが1日、関西国際空港と札幌、福岡を結ぶ路線に就航する。日本勢初の本格的なLCCとなる同社を手始めに日本航空と全日空がそれぞれ出資する他の2社も今夏に就航する。潜在需要を掘り起こす一方、従来型の航空会社との競合が予想され、航空運賃の下落圧力になる可能性もある。
日航や全日空にとっては、LCC業界でも主導権を握りたいのだろうが、うまくいくようなら本体の経営モデルの見直しを迫られかねず、うまくいかなければ本体への経営ダメージを食らうので、どっちに転んでもあまりおいしくはない気がする。ただ、格安航空会社はコストを削減して航空運賃を安く提供することを標榜しているが、飛行機にお客を乗せて空を飛ぶこと自体は一般の航空会社とさほど変わるわけではないので、安全確保のためのコストをどう維持するかをきちんとアピールしないと怖くて乗れない人が多いと思う。

2012年2月29日水曜日

FEB.29 (Wed) .2012

◆ 日経拾い読み


  • 民主執行部、消費増税へ「踏み絵」・・・新人議員面談スタート 活動費に成果主義、反対派は反発
民主党は消費増税を含む社会保障と税の一体改革の実現に向けて、100人以上いる当選1回の新人議員への個人面談を実施し、1人あたり300万円の「活動費」も支給する。次期衆院選への対策も兼ねており、地元での活動を評価したうえで活動費を増額する成果主義も視野に入れる。党内では野田佳彦首相が取り組む消費増税への造反の芽を摘む「踏み絵」と受け取る向きも多い。

民主党執行部はやたら党議拘束したがるが、こういった足元を見て金や票をエサに魚(今回は増税案)を釣る姿勢が国民から嫌われていることにまだ気づいてないらしい。岡田氏あたりが好きそうなやり方だ。


  • 少子化相「年金交付国債取り下げ」・・・予算委紛糾、発言撤回し陳謝
    中川正春少子化担当相=写真=が28日、2012年度に基礎年金の国庫負担割合を50%に維持する財源として、将来の消費増税による税収を充てるために発行する予定の「年金交付国債」の取り下げに言及し、のちに撤回した。衆院予算委員会では野党が閣内不一致として追及し、閣僚が釈明に追われた。藤村修官房長官は少子化相を注意した。

    これは閣内でも消費増税法案が成立するわけない(または内心では反対)という思いをポロッと出しちゃったということだ。


    • 前原氏、産経記者締め出し解除・・・「報道の自由制限するつもりない」
    民主党の前原誠司政調会長は28日、記者会見から産経新聞記者を排除した問題で、同日の会見から出席を認める方針に転換した。会見で産経新聞記者が「なぜ排除したのか」と聞いたところ、前原氏は「事実に基づかないことを書かれた。文書での回答がなかったから断った」と反論。しかし「取材の自由、報道の自由を制限するつもりはない」と釈明した。

    政治家は上司がいないので、直接誰かに仕事ぶりを評価されるわけではなく、それは選挙の際に有権者から信認や期待を得て当選することで評価が具体化される。ただ有権者は直接政治家を見る機会は少ないので、マスコミの報道等を通じて情報を知ることが多い。そういう意味で政治家がマスコミとどう付き合うか、ひいてはマスコミのレベルが政治家のレベルを表すともいえるが、そういう視点からは前原氏のとった姿勢は疑問符がつくし、今回の件は確実にイメージダウンにつながるだろう。ただマスコミ(政治部記者)のレベルが低いのも確かなので、政治家はそういうところをマスコミに突っ込んでいくべきだが。


    • 成長戦略、具体化が急務・・・パナソニック社長交代 巨額投資重荷に 創業家除き最年少
      パナソニックの新社長に創業家出身者を除き同社最年少の55歳で津賀一宏専務が就任する。6年続いた中村邦夫会長・大坪文雄社長体制では、社名変更やグループ再編など大がかりな改革に取り組む一方、数千億円を投じたテレビ事業で巨額の損失を計上。三洋電機の買収も成長見通しに狂いが生じるなど、つまずきもあった。

      かつてパナソニック、以前は松下電器産業だったが、ソニーの真似ばかりするので「マネシタ」と呼ばれていた。ソニーが独創的な商品を発売すると、それを研究してさらにローコストにして大衆向けに大量販売することで業績を伸ばしてきたことを揶揄していた意味もある。今回ソニーがテレビ事業の責任者を次期社長に据えたが、それを見てマネシタんじゃないことを望む。


      • エルピーダ、再建曲折も・・・坂本社長「更生計画案、6週間で」 マイクロンとの交渉継続
      会社更生法の適用を申請したエルピーダメモリの坂本幸雄社長は28日、経営再建の具体策を盛り込む更生計画案について「今後6週間でまとめる」考えを明らかにした。日本航空やウィルコムの場合、更生法申請から計画案提出まで7~8カ月を要した。坂本社長はスポンサー企業を4月半ばまでに決め、スピード再建を目指す意向だ。ただ主取引銀行の間には事前調整なく更生法を申請した坂本社長への反発が出ており、再建は曲折も予想される。

      マイクロンはつい最近、CEOが突然事故死して急遽交代した。エルピーダの坂本社長はマイクロンの前CEOと関係が良く、本来なら提携が決まっていたのだろうが不運にも頓挫してしまった。今回更生法を申請した以上、債権放棄等が発生するだろうから提携候補からはかなり買い叩かれることになるだろうが、数千人の雇用を抱えているので早めの決着をして坂本社長自身は退任する考えなのだろう。


      • マクドナルド、店舗不動産を自社保有へ・・・200~300カ所 郊外の地価下落で
      日本マクドナルドホールディングスは店舗不動産の大量保有に乗り出す。現在は賃借が大半だが、数年かけて新店と既存店を合わせ200~300カ所の土地・建物を取得する。同社は業績は好調だが、米国本社など世界各国のマクドナルドに比べると日本の賃料負担が重いため、利益率は低い。地価が下落している郊外の店舗を自社物件に切り替えることでコスト削減を進める。

      飲食を含む小売業が不動産を取得すると一般的にはいずれ行き詰まる。賃貸と自社所有では、スクラップ・アンド・ビルドのスピード感が変わってしまうからだ。過去はダイエーが駅前立地の不動産を購入して出店し業績を拡大していったが、10年も経つと当初繁華街だったところも廃れてしまい、結果地価も下落して売上減少、自社所有不動産も価値下落という負の連鎖にハマって行き詰まった。ファーストフード店としては地代家賃が高くても通行客数の多い繁華街での小規模店舗で客数を高回転させるというのが一般的なビジネスモデルなのだが、マクドナルドが郊外大型店(客数が少なく滞在時間が長い)を増やしていった折に現在から顧客動向が変化した場合にどう迅速に対応していけるのかが非常に興味深い。

      2012年2月28日火曜日

      Feb.28 (Tue) .2012

      ◆ 日経拾い読み


      • エルピーダが更生法申請 負債4480億円、製造業最大・・・韓国勢に後れ市況も悪化 国策半導体は頓挫
      パソコンなどに使う半導体のDRAMで世界3位のエルピーダメモリは27日、会社更生法の適用を東京地裁に申請し、受理された。負債額は約4480億円(2011年3月末時点)で、製造業では過去最大。09年に公的資金300億円を使って政府も再建を支援したが、市況低迷や円高で業績が悪化。韓国メーカーとの競争力格差が広がる中、経済産業省や金融機関も再建は難しいと判断し支援を断念した。電機産業の苦境が一段と深まってきた。
      3月末に産活法が切れることから日本政策投資銀行への300億円の返済が発生するため、産活法の延長や取引銀行からのつなぎ融資を求めていたようだが、その条件としての提携先確保を含む経営再建策の提出を求められており、それが行き詰まった模様。昔はDRAM業界は日本企業がシェア7割を持つ国策産業だったが、今ではサムスンなど韓国勢に押されてエルピーダのシェアも15%に低下していた。政策投資銀行が出資していたことから今回の更生法適用で国民負担が280億円発生するらしいが、中途半端に国に関与されると身動きが取りづらいのかもしれない。この会社は経産省が後押ししていたが、少し前に経産省官僚がエルピーダの情報を使ってインサイダー取引をして捕まっている。直接的には関係無いだろうが、そういうところからもこの会社が辿る運命を暗示していたのかもしれない。


      • 沖縄振興・負担減前面に 首相・知事会談・・・「普天間」仕切り直しに時間 辺野古埋め立て申請は秋以降
       野田佳彦首相は27日、2日間にわたる初の沖縄訪問を終えた。仲井真弘多知事には米軍普天間基地(宜野湾市)の名護市辺野古移設が「唯一有効な方法」と説明。経済振興と基地負担軽減に全力を挙げる政権の姿勢を前面に打ち出した。辺野古埋め立ての許可申請は秋以降に先送りし、県外移設を要求する沖縄側との対話を続ける方針だ。
      首相は沖縄振興特措法改正案をエサに辺野古移設を進めたい考えだろうが、簡単にはいきそうにない。
      日本の歴史、沖縄の歴史、そして米国との関係が重くのしかかっている。沖縄の立地は地政学的に米国の軍事拠点として重要であり、日米同盟のなかで切り離すことのできないもので、そういうことを力説する政治家・評論家が多々いるが、それはあくまで米国から見た考え方であって、沖縄に基地があることや、その負担の見返りとして特別措置法で優遇するとかという姿は客観的に見て自然な形だとは思えない。日本の防衛戦略、米国との関係のあり方は踏まえたうえで、短期的・中期的ではなく長期的に沖縄が最終的にどういう形になることがあるべき姿なのかを(大っぴらにはできないだろうが)政府の重要な引き継ぎ案件として沖縄県とともに話し合っていく必要があると考える。


      • 維新塾、1次合格者2262人 みんなの党 多数応募 緊密連携、支持拡大狙う
      地域政党「大阪維新の会」(代表・橋下徹大阪市長)は27日、次期衆院選の候補者擁立を見据えて3月に開講する「維新政治塾」の第1次合格者を発表した。合格者にはみんなの党の関西地方の小選挙区支部長らも含まれる。
      既に国会議員を十数名出しているみんなの党議員が次回衆院選に300名程度出馬させようとしている大阪維新の会の政治塾に加わる。数の問題でみんなの党は吸収されるんじゃないかと思うが大丈夫だろうか。みんなの党が前回の衆院選で予想外に得票したのは、当時の自民党政権に嫌気がさしていたが政権交代を目論む民主党は信用できないといった層が消去法で投票して得たものが多い気がする。少数政党だけあってなかなか存在感を示しづらいこともあるんだろうが、今の維新の会の勢いからすると確実に飲み込まれるだろう。党首の渡辺氏からすると、それなりのポストにつければそれで良しとの考えかもしれないが。


      • AIJ、02年運用当初から損失 組織的に隠蔽か・・・監視委検査
      約2000億円の企業年金資産の大半が消失していた問題で、AIJ投資顧問が2002年の運用開始直後から損失を出していたことが証券取引等監視委員会の検査で分かった。運用の失敗を長期間にわたって隠していた格好で、組織ぐるみで隠蔽していた疑いも出ている。監視委はこうした実情を踏まえ、消失した金額の確定を急ぐ。
      業界は異なれど、投資損失を隠蔽してやりくりしてきた点はオリンパスと同じだ。バブル崩壊やリーマンショックといった大きな損失機会で資産を目減りさせている企業は他にも多々あるだろうから、AIJの件は決して個別案件ではないように感じる。そもそも所轄官庁が厚労省ということで財務省や金融庁との関係も良くはないんだろうから、当局の監視体制などもザルだった可能性も高い。

      2012年2月27日月曜日

      Feb.27 (Mon) .2012

      ◆ 日経拾い読み



      • AIJ契約、中小9割・・・厚労省、昨年度末調べ 80年金120件
      2000億円の企業年金資産の大半が消失していた問題で、AIJ投資顧問の2011年3月末の顧客構成がわかった。企業年金は80を超えており、同一の業種や地域の中小企業が集まる「総合型」の厚生年金基金が約9割を占めた。なかには年金資産の3割以上を投じた基金もあった。中小基金では年金の積み立て不足が拡大するとみられ、どう穴埋めするかが焦点になりそうだ。
      これから実態が明らかになるとは思うが、問題はこの損失をどうするか?ということだろう。AIJ自身は関与者が逮捕されるなどして事業は廃業する可能性が高いが、この損失穴埋めは委託していた企業に振りかかるのか、あるいは国からの公的資金で補助するのか?が議論されるかもしれないが、その場合はAIJだけでなく、投資顧問業界で同様の事例がないか検証する必要はある。
      同じ金融枠組みの銀行業界への経営支援については国は当たり前のように公的資金を注入してきたが、それ以外の業界に対しては対応が渋いのがいつも不思議に思うのだが、アメリカでもそういう政府の姿勢に反対してウォール街でデモが発生した。


      • 首相、就任後初の沖縄訪問・・・普天間問題「まずおわび」
      野田佳彦首相は26日、就任後初めて沖縄県を訪れた。首相は那覇市内で記者団に、27日に沖縄県庁で予定している仲井真弘多知事との会談で、米軍普天間基地移設問題について「これまでの経緯を踏まえ、まずおわびをしたい」と述べた。
      自民党の石原幹事長も批判していたが、就任後半年経って沖縄に初訪問するというのは遅すぎる。本当に沖縄問題を解決したいのなら、「自分がすべての責任を負って沖縄諸問題を解決すべく取り組む」と宣言して就任早々訪問するような首相が出てこない限り、沖縄県民の民意を懐柔するのは困難だと思われる。そもそもここまで事態を複雑にしたのは民主党政権なのだから、党をあげて政府が率先して解決に取り組む姿勢を示すだとか、事の発端を起こした鳩山元首相を処分するとか解決可能性はゼロでは無いだろうに、今ひとつ誠意を感じられない。今回の首相訪問においても挨拶程度に終わり、大きな収穫は得られないだろう。


      • 米企業、ドル安修正に懸念 収益鈍化見通し相次ぐ・・・海外販売、不透明感一段と
      海外販売の好調を支えてきたドル安基調の修正が進み、米企業の間に懸念がじわじわと広がってきた。化学大手デュポンや飲料大手コカ・コーラは2012年の収益がドル高で下押しされるとの見通しを開示。世界的な金融緩和で米国株は高値圏にあり、企業業績も増益を維持しているが、新興国などを中心に海外事業には減速の兆しがみえる。その中でドル安の修正は収益鈍化を助長し、今後の株式相場の重荷になっていく可能性もある。
      日本企業が円高で苦しんでいるように、アメリカの企業もドル高になると輸出関連企業が業績悪化する。そうなると米国の景気回復に水を差すだとか、大統領選を控えているからといって円高ドル安に振れるような動きを日本政府は容認してはならない。

      2012年2月26日日曜日

      Feb.26 (Sun) .2012

      ◆ 日経拾い読み



      • AIJ問題、信託・企業年金も調査・・・政府、ずさん運用洗い出し 資産内容・リスク管理を点検
      政府は約2000億円の企業年金資金の大半が消失していたAIJ投資顧問の問題を受け、実態調査に乗り出す。金融庁は、年金資産を運用する投資顧問に加えて、年金資産を管理する信託銀行の信託勘定で資産が確実に管理されているかの調査を週明けから本格化する。厚生労働省は、厚生年金基金など企業年金のリスク管理を調べる。AIJと同様な問題がないか点検すると同時に、再発防止につなげる狙いだ。
      AIJ問題が起きて慌てて厚労省が動いている模様だが、国の年金がああいう状況になってしまうわけなので、民間の年金の管理監督などができていなくてもおかしくない。今回のケースはAIJはタックスヘイブンであるケイマン諸島の企業を経由して資金の流れを不透明にしていたらしいので、年金を預っている信託銀行に運用資産の適性把握を義務付けるようにして年金資産の正当性を担保させるなどしないと抜け道は塞げないだろう。



      • 年金交付国債、焦点に・・・消費増税で償還、野党など抵抗 負担・給付問題浮上も
      2012年度予算案を巡る審議で基礎年金の国庫負担割合の50%維持を目的にした「年金交付国債」の発行が焦点になってきた。償還財源を将来の消費増税で賄うため野党や与党の増税反対派が抵抗しているからだ。交付国債の発行を可能にする国民年金法改正案は予算関連法案。成立しなければ、今後の保険料負担と年金給付の問題も浮かび上がる。
      現状、基礎年金財源の積立不足により国庫負担割合が36.5%に低下しているが、それを50%にするため、2.6兆円の国債を発行して穴埋めしようとしているのが年金交付国債だが、政府はその償還財源を消費税増税分から充てようとしているので、野党から反発されている。ただ、この国債発行を認めてしまうと、消費増税に賛成しないとおかしいという話にされるため、野党としても整合性を取るために賛成するわけにはいかないだろう。このシナリオを書いているのは官僚なのかもしれないが、あらゆる法案を震災復興と消費増税に結びつける考え方は、増税反対で一点突破されるとすべての関連法案がパーになり、あげくは政権転覆させるだけのインパクトを与えてしまう。実はそれを狙っているのかもしれないが、国会で無駄となる議論をさせることは貴重な時間と血税の壮大な無駄遣いでもある。



      • 東電料金抑制へ「脱・自前」 開放・提携を加速・・・「総合計画」原賠機構案、取締役の過半を社外から
      原子力損害賠償支援機構は東京電力の総合特別事業計画に盛る「新生東電」の骨格を固めた。電気料金の上昇を抑えるため、過剰な設備投資など高コスト体質の原因である「自前主義経営」からの転換を打ち出す。節電につながる新型電力計の国際入札手続きに2月末から着手し調達を開放。新規事業は他社との提携を基本とし、取締役も過半は外部から登用する。
      東電に限らず、全国の電力会社はこれまで公共性の高い電力供給事業をしているということで、保守的、官僚的な経営をしてきたが、今回の震災を契機に電力問題が起きたことで業界全体の古い閉鎖的な体質が次々と明らかになり、改善を迫られている。政府としては東電だけをどうこうするのではなく、この機会に電力行政の見直しや業界の開放性を高め、可能であれば東西の周波数統一など明治以来手を付けてこれなかった諸問題を解決するべきだろう。



      • グーグル指針、波紋広がる 個人情報を収集、横断的に利用
      米グーグルが3月1日から導入する新たな個人情報の収集や利用に関する指針が波紋を広げている。従来の指針を変更、利用者に関する情報を複数のサービスで横断的に利用できるようにするものだが、プライバシー侵害のリスクが高まるとの懸念が浮上。欧州連合(EU)が導入延期を要請したほか、日本の総務省も対応の検討を始めた。
      グーグルは検索技術を活用して、これまで別々に運用管理してきたユーザー情報を可能な限り統合して紐付け直し、個人情報の利用方法も変えるということだが、これはユーザーに利便性を向上させる反面、必要以上の個人情報を利用した広告表示や過剰サービスを提供するリスクも抱えている。利用している側からすると、「このサイトにはここまでの情報は知られてもよいが、それ以上は提供したくないし、関与されたくない」という一線を持っている。今回のグーグルの改定ではグーグル社内である一定のガイドラインが固まるまでは、一般ユーザーへの過度のサービス提供によってクレーム問題となり、それによってガイドラインを修正するやり方をとるだろうから、ユーザー側としても防衛意識を持って情報を扱うようにしないと、知らないうちに自分のプライベートな情報を他人に思った以上に知られていたということになりかねない。

      2012年2月25日土曜日

      Feb.25 (Sat) .2012

      ◆ 日経拾い読み



      • 「どなたでもお会いし、説得」 首相悩む「小沢対策」 融和論か強硬論か、政権安定効果計れず
      野田佳彦首相が消費増税に反対している民主党の小沢一郎元代表と必要に応じて会談する考えを表明した。消費増税関連法案の3月の国会提出に理解を得るためだが、発言力の確保を狙って駆け引きを仕掛け、2人だけの会談に持ち込むのは元代表の常とう手段でもある。首相周辺でも、内閣不信任決議案への同調をちらつかせる元代表への融和論と強硬論が割れている。
      客観的に見て不思議なのは、首相が消費増税に反対する党内勢力と積極的に話し合いをしているようには見えない点だ。国会でも党内が消費増税でまとまっておらず、党内での有力議員である小沢氏を説得するのかという点を野党から指摘されて上記の回答をしている。法案自体はすでに閣議決定して政府案として提出しているわけだが、一般常識で考えると重要な決定をするときは根回しや事前の相談などを各所にするのが普通で、党内でのキャスティングボートを握っていて明確に消費増税に反対を表明している小沢氏といまだに議論を交わしていないかの首相の発言は、この法案自体が成立する可能性が低いことを表しているような気がする。少し前にNHKの討論番組内で、税と社会保障の一体改革法案について与党である国民新党の政調会長が反対を明言するなど政府・与党内でも一枚岩とはなっておらず、野党を巻き込むどころか徐々に今国会内で成立しなくてもやむなしの風潮を醸成しつつある。



      • 年金なぜ消えた AIJ業務停止・・・必ず収益、運用はブラックボックス 働かぬチェック、モラル頼み裏目
      高収益で年金関係者の評判が高かったAIJ投資顧問(東京・中央)の年金運用の内実は、虚偽だった。企業の年金基金から預かった約2000億円の資金の大半は消失し、評価額は10分の1以下に減っているという。いったい何が起きたのか。ほかの年金で同じことが起きる心配はないのか。
      AIJの運用成績と厚生年金基金の修正総合利回りの比較グラフが載っていたが、厚生年金についてはリーマンショックの起きた2008年に大幅に運用成績が低下しているのに対し、AIJは大きなダメージを受けずに安定した成績を顧客企業に示していた(これが虚偽らしいが)。しかしながら、一般的にはリーマンショックであらゆる相場が下落し、金融機関や投資会社は軒並みダメージを受けている中で、この会社だけ無傷ということはおかしいと思わなかったのだろうか?

      また、各社から集めた年金基金がほぼすっからかんになっているというだが、資産状況を示す資料の正当性を担保していなかったのか、チェック側の体制不備も指摘されることだろう。
      現在、国会では公的年金の制度が破綻していることから改革案を議論しているが、年金制度の制度疲労については企業年金においても同様で、企業の従業員構成が高齢化していくにつれて年金原資の不足が起きており、積立不足を指摘される企業が増えてきている。そのような企業や企業組合などの年金運用においては、運用利回りを求めてAIJまでとはいかなくともリスク投資によって隠れ負債を抱えているところがないとは限らない。今後の捜査によってAIJ事件の内容が明らかになるとともに、同様の問題がないか他の年金への調査も進むことでわかってくるだろう。



      • 米朝、交渉継続を確認・・・ウラン濃縮停止 合意せず
      米国と北朝鮮は24日、北京で北朝鮮の核問題を巡る2日目の高官級交渉を開き、今後も直接交渉を続ける方針を確認した。米デービース北朝鮮担当特別代表は交渉後、記者団には具体的な成果を明らかにしなかった。ウラン濃縮活動の停止は合意できなかったようだ。米国に帰国後、政府内で交渉結果を話し合った上で今後の対応を決めるとした。
      • 正恩氏の外交、父を踏襲 カード小出し、多くの見返り要求
        金正日総書記の死去後初の米朝交渉では、金正恩(キム・ジョンウン)党中央軍事委副委員長が「核カードを小出しにして譲歩を最小限にとどめながら多くの見返りを要求する」という父の外交手法を踏襲した姿が浮き彫りになった。正恩氏が新たな支援獲得を見込める「核保有国」の立場を手放す可能性は低く、日米韓のめざす「核放棄」は手詰まりに陥っている。
        予想通り、金正恩氏の外交スタンスは父親を踏襲しているようだ。指導者が変わったくらいでこの国の方針が大きく変わるとは思えず、北朝鮮の核廃棄や民主化を狙うのであれば、国内での政変や国民の暴動・デモ、軍部の暴走などが起きて政情が不安定にならないと事態は動かないだろうが、北朝鮮の新体制としては国内問題を対外的に知られることは外交面でマイナスになるので、当面は現状維持、様子見が続くと思われる。

        2012年2月24日金曜日

        Feb.24 (Fri) .2012

        ◆ 日経拾い読み


        • 年金2000億円の大半消失 AIJ投資顧問 ・・・「高収益」と虚偽、100超す企業から受託 金融庁きょう業務停止命令
        国内独立系の投資顧問会社、AIJ投資顧問(東京・中央、浅川和彦社長)が企業年金から運用受託していた約2000億円の大部分が消失していることが23日、証券取引等監視委員会の検査でわかった。長期にわたって高い運用収益を上げているとの虚偽の情報を顧客に伝え、実態を隠していた疑いがあるとして、金融庁は24日、AIJに業務停止命令を出す。年金運用会社のずさんな実態が判明したことは、企業年金の運営に深刻な影響を与えそうだ。
        2000億近い損失を出す年金運用会社もそうないと思うが、投資での損失ならばデリバティブかなにかリスクの高い商品に投資していた可能性はある。顧客企業には虚偽報告をしていたらしいので、運用委託元としては見抜けなかったのだろうし、仮に焦げ付くようなら企業負担で補填せざるを得ないだろうから、踏んだり蹴ったりだ。ただ、委託する側としても運用資金が大きな場合は定期的な厳しいチェックが必要だったであろうし、この投資顧問がどこにどれだけ投資していたのかを把握していなかった可能性もあり、その場合は過失を問われても仕方がない。


        • 大王製紙、創業家側の近隣におむつ新工場 対立一段と
        大王製紙は静岡県富士宮市に紙おむつなどを生産する自前の工場を建設する方針を固め、用地を取得した。大王の現経営陣と対立する創業家は今月12日、紙おむつの生産関連会社、エリエールペーパーテック(栃木県さくら市)の臨時株主総会を開き、経営権を取得したばかり。
        案の定泥仕合になってきた。創業家が経営介入している構図だが、株主構成を見てみると創業家は子会社の株は押さえているが、大王製紙本体の株は経営者を変えるだけの持ち株比率が無い。だから子会社の動きを使って本体を揺さぶろうとしているのだろうが、このバトルは創業家の負けに終わる気がする。

        2012年2月23日木曜日

        Feb.23 (Thu) .2012

        ◆ 日経拾い読み


        • 超円高修正進む 1ドル80円台、一時7カ月ぶり水準 ・・・米景気に期待感、リスク回避緩む
        昨年夏からの歴史的な円高局面が修正されつつある。円相場は22日の外国為替市場で約7カ月ぶりに1ドル=80円38銭を付け、対ユーロでも106円台に下落した。米国経済の改善や日米欧の金融緩和で投資家のリスク回避が和らいだため。経常収支の黒字幅縮小から日本の貿易構造の変化を意識する海外投資家も多い。円高修正を追い風に日経平均株価は9500円台を回復した。
        米国経済の回復基調への期待感と米欧そして日銀の金融緩和、日本の経常収支の悪化などから円安に振れている。これにより輸出関連企業の業績回復期待から日経平均株価も上昇した。しかしながら、国内では日本経済の回復やデフレ要因の需給ギャップ解消、行財政改革などが抜本的には進んでいないので、日本を取り巻く他国の環境変化に右往左往する為替相場は今後もしばらく続くのだろう。


        • 1票の格差 是正遠く 勧告期限守れず「違法状態」に ・・・各党の利害、定数削減・抜本改革も絡み交錯
        衆院選挙制度改革を巡る与野党協議は22日の幹事長・書記局長会談でも歩み寄りがみられず、衆院選挙区画定審議会(区割り審)設置法が定めた25日の勧告期限を守れないことが確実となった。実務者による協議は続くものの、その間は「違法状態」となる。民主党は1票の格差、定数削減、抜本改革の3つの課題を同時に決着させようとしたが、各党の利害が入り乱れ膠着状態に陥った。
        現政権としては、消費税増税法案を成立させたいがために国会議員の定数削減をセットとし、かつ、1票の是正格差も解消しようとしたが、その目論見が崩れている。そもそも消費税を増税する目的は財政状況の改善のためであり、悪化要因は歳出が増大して歳入(税収)が減少しているからであり、歳出項目の大きなところは社会保障費(年金、保険、医療費)と公務員給与なんだからそれをなんとかしなければならないのだが、その部分の解決への道筋がはっきりしていない。ここを解決しないまま増税だけ決まることになれば景気はさらに冷え込むだろうから、国民生活はさらに窮乏化していくだけだろう。そうなると失業保険給付や生活保護給付が増えて社会保障費はさらに増大し、国内消費も緊縮して税収も思ったようには増えない最悪のスパイラルに突入する。というか、既に突入しつつある。


        • 音楽業界、市場復活期す アップルがクラウド開始・・・ネット配信を強化
        米アップルは22日、クラウド型音楽配信サービス「iTunesイン・ザ・クラウド」のサービスを日本で開始した。日本ではクラウド型の音楽配信における著作権の線引きが曖昧で、音楽業界もインターネットを介した配信に後ろ向き。しかしCD販売とネット配信の市場が同時に縮小する危機的な状況を受け、日本の音楽業界もネット配信に活路を見いだす方向にかじを切り始めた。新サービスで市場縮小に歯止めをかけられるか。注目が集まる。
        世界の音楽配信市場は右肩上がりで成長しているのに対して、日本では逆に2年連続して前年割れ。米国では昨年、CD生産額を音楽配信売上高が上回ったらしいが、日本では著作権の問題などから音楽業界がなかなか踏み込めずに結果として自らの市場縮小を招いている。すでに音楽コンテンツは楽曲をCDに詰めて販売するモデルから、youtubeなどで無料でプロモーション映像を流し、広告収入を得たりグッズ販売での収入を得るといったモデルに変わりつつある。著作権の保護は作詞家・作曲家・歌手にとって大変重要であり、おろそかにしてはいけないとは思うが、過保護すぎて新たなビジネスチャンスをも失うのでは元も子もない。そして音楽市場で成功する若いアーティストが出てこなければ、それを目指す子供たちも減っていき、将来市場を背負う人材も枯渇していく。これは音楽業界に限らず、過去に隆盛を極めたあらゆる業界(たとえばプロ野球など)でも同様の現象が起きている気がする。


        • 男女の賃金格差最小・・・昨年の女性平均、男性の7割に 全体は0.2%増
        厚生労働省が22日発表した賃金構造基本統計調査(全国)によると、2011年のパートを除く一般労働者の平均賃金で、男女間の賃金格差が過去最小となった。医療・福祉分野で活躍する女性の賃金の伸びが後押しし、女性の平均賃金は男性の約7割まで上昇した。全体の賃金も前年比0.2%増の29万6800円で2年連続のプラスとなり、00年代前半からの減少基調がようやく下げ止まってきた。
        グラフを見るかぎり、男性の平均賃金が2001年頃をピークに右肩下がりになっているのに対し、女性の平均賃金は1994年頃から少しずつ上昇するようなカーブとなっているので、賃金格差が縮小しているというよりは男性の平均賃金が大幅に下落しているといった方が正しい。ただ、女性がさまざまな業界に社会進出し、専業主婦から転じて働く層も増えており、女性が管理職ポストに就くケースも過去に比べて増えているだろうから、そういう面が平均賃金を押し上げているのも確かだ。


        • きょう米朝交渉、総書記の死去後初 ウラン濃縮停止焦点に
        米国と北朝鮮は23日、北京で核問題を巡る直接交渉を開く。金正日総書記の死去後初めてとなる米朝交渉は、新指導者となった金正恩(キム・ジョンウン)党中央軍事委副委員長が非核化問題など外交姿勢を初めて示す場となる。特に日米韓が要求するウラン濃縮活動の即時停止など「核放棄に向けた具体的な措置」に応じ、6カ国協議再開につながるかが焦点だ。
        後継の金正恩氏が父親の路線を受け継ぐのか、平和的な姿勢を打ち出すのか注目されるが、国内での影響力を向上させようとするのならば極端な路線変更はしないと思われる。


        • ドライブスルー、カーナビで注文 民間・国交省が実験
        日本マクドナルドなど民間企業26社と国土交通省の財団法人、道路新産業開発機構は22日、高度道路交通システム(ITS)を活用したドライブスルー店舗での新サービスの実証実験を始めると発表した。自動車のカーナビゲーションから事前に注文を登録し、クレジットカードで自動決済する。
        便利にすることはいいことなのかもしれないが、ファーストフード店で事前予約をしたところで、直接注文するのと大して時間は変わらない気がする。そんなところよりも役所での書類発行の事前予約ができてドライブスルーで受け取れるようにしてくれれば、待ち時間が減ってうれしいと思うのだが。
        市役所・区役所などに限らず法務局などの届出機関もそうだし、入出国手続きも電子化されていないから待つことにストレスがたまる。そういうところにインフラ投資してもらったほうが公務員人件費の削減にも役立つし一石二鳥なのだが、公務員の仕事が減るから反対されるだろう。


        • 大王製紙出身役員ら 創業家提案で解任・・・ 関連会社株主総会 2社目
        大王製紙の関連会社で紙おむつなどを製造するダイオーペーパーコンバーティング(愛媛県四国中央市)は22日、臨時株主総会を開き、大株主である創業家側の提案により、大王製紙からの出向者6人を含む取締役7人全員を解任した。同社は大王製紙の井川意高前会長に融資した7社の1つで、創業家側の提案した新しい取締役5人を選任した。大王製紙側は議案に反対した。
        創業家出身の会長が逮捕されて以来お家騒動が続いているが、あまり経営のゴタゴタが続くと本業への影響も必至だろうし、従業員も嫌気がさしてくるだろう。はたから見る限り、これは創業家の度を超えたこれまでの経営関与に対して、現経営陣が元会長のスキャンダルを契機に影響排除しようとしているようにしか見えない。最悪、現経営陣が暴走して同業他社と提携してしまい、創業家の関与する関連会社との関係を断ち切ろうとするような行動に出た場合、将来的にこの会社は消えてなくなるかもしれない。

        2012年2月22日水曜日

        Feb.22 (Wed) .2012

        ◆ 日経拾い読み


        • 春に入学、授業は秋から 一橋大が独自案検討
        東京大学が全面移行を検討している秋入学について、一橋大学が入学時期を春のままにしながら、本格的な授業の開始を秋に移す独自案を検討していることが21日、わかった。入学から秋学期までを「導入学期」、4年次の最後の3カ月を「修了学期」とし、実質的な学部教育は7学期で終える。春入学・春卒業の枠組みのまま、国際標準の秋入学に合わせた授業日程が組める利点がある。
        秋入学のメリットは、海外からの留学生を受け入れやすくなったり、日本人の留学がしやすくなる、そして大学生の質的レベルアップにつなげていきたいということなのだろう。ただ、時期の問題だけでそれを解決すれば日本人の留学生が飛躍的に伸びるのか?本来、現状各大学に存在する制度上の問題点や、日本人学生の質が世界的に見てどういうポジションにあって、それをどう改善していくのか?という点から議論をしていく必要があるのではないかと感じる。

        入学時期が変わるということは、大学の前後に関わっている業界、つまり入学前では高校や予備校での入試対策やカリキュラムの変更が求められ、そして卒業後では企業や官庁などでの採用体制見直しや国家試験実施時期の変更なども迫られる。一部の企業では就職活動時期を流動的、前倒しにするなどの動きは出てきているが、大規模な雇用環境の変化も起きてくる可能性はある。

        景気の低迷もあり、また学生数の増加もあって昨今の大学生の就職内定率は低下している。企業もコスト効率化の観点から人件費抑制、正社員比率抑制を進めていることもあって新卒採用人数を減らすところも多い。しかし、そもそも新卒採用ありきの就職業界自体が今の世の中に合っているのか?以前は終身雇用制度を採用する企業が多かったから、新卒入社で一から教育して一人前にしていき、年齢を重ねるとともにその企業を支える役割にしていくことが一般的なキャリア形成の姿だったのだが、現在では入社から定年退職するまで一つの企業で終える人が減ってきており、企業側としては入社してもいつ転職するかわからないので新卒採用のメリットが薄れてきている。一方、就職する学生側としてもいくら大企業であれ優良企業であれ、いつ経営破綻しないとも限らないというのを過去の多くの倒産事例から見てきているし、昨今の企業は退職金制度を見直したり廃止するところも多いので、定年まで働こうというモチベーションも必然的に下がってきている。

        このような企業と学生の関係変化を捉えつつ、今後の学生に求められる能力、それは働くだけでなく研究分野に進むにしろ必要とされる能力を、大学でどう教えていくのか見直す契機なのかもしれない。それは大学に限らず小中高においてもしかりで、教育制度そのものの見直しを時代から要請されているように感じる。現状、国では足下の経済や社会保障の問題ばかりに目が行っているが、同時に将来国を支える子供たちの教育問題の解決も速やかに実行する必要があると考える。


        • 欧州 南北に亀裂 独は支援疲れ、追加措置困難
        難航していたギリシャ向け第2次支援策がようやく固まった。ユーロ危機の震源地であるギリシャの無秩序なデフォルト(債務不履行)を当面回避するメドは立った。だがこれはユーロ安定への多くのハードルを1つ越えたにすぎない。イタリア、スペインなど域内の大国への波及を防ぐ防波堤の構築や中長期の財政連携・成長戦略など難問はまだいくつもある。
        EUのなかで決して大きくはない財政規模のギリシャへの対応で欧州内では混乱を続けているようにみえるが、実はイタリア、スペイン、ポルトガルなど第二、第三のギリシャ候補が財政破綻するリスクを抱えており、それらが仮に破綻するとギリシャの比ではなくなる。現状はドイツやフランスが主導してEUの経済混乱を抑えようとしているが、EU各国がEU全体を考える余裕が無くなって内国主義に転換してしまうと経済の混乱だけでは済まなくなってくる。


        • 「65歳以上=高齢者」見直しへ ・・・「支える側になって」政府提起 現役世代の負担軽減
        政府は65歳以上を一律に「高齢者」と位置づける現行の定義の見直しに着手する。5月をめどにまとめる「高齢社会対策大綱」で、高齢者も可能な限り「支える側」に回る考え方を打ち出す。元気に働くシニアも多く、すべて「弱者」と見なす仕組みでは、現役世代の負担増大に歯止めがかからないためだ。
        2010年時点での平均寿命は男性で79.64歳、女性は86.39歳。65歳からの残り寿命を考えると高齢者の閾値を引き上げるのは理解できなくはない。しかし、定義の変更だけでなく雇用もしかりだが医療費負担などの社会保障のあり方や高齢者層に対する支援についても見直す必要がある。そういう意味では冒頭の教育制度の改革もしかり、今の日本のあらゆる仕組みを見直す時期に来ているわけで、それを進めるのは政治家の役割であり、そのことを政治テーマとして掲げて活動している政党・政治集団はどこか?ということである。既存二大政党の民主党・自民党からはこれまでの仕組みを改善する話は出るが、ゼロベースで一から設計し直すまでの改革案は出てこない。第三極が大阪で生まれつつあるが、維新の会だけでなく既存小政党や民主・自民議員のなかからも同様の主義・主張を持つもの同士が集まって政界再編が起きるくらいでないと、この国の制度を抜本的に変えるだけの大きなうねりは出てこないだろう。


        • 発電、ガス頼みに危うさ
        全54基の原子力発電所の停止が近づいている。再稼働がなければ、日本は当面、天然ガスの火力発電所に電源を依存せざるをえない。急激なガス輸入の増加は日本の国富流出につながる。中東情勢の緊迫化など潜在的なリスクも膨らむ。かつてない「ガス依存時代」への備えは十分か。
        原発が止まったから火力依存度を増やさざるをえず、液化天然ガス(LNG)の輸入が急増して貿易赤字に転落した。非常にわかりやすいシナリオだが、そもそも原発の依存度はエネルギー供給全体の1割程度。そして国内の発電設備での電力可能供給量は 1割以上消費量を上回っているので、原発が全停止しても理論的には停電することはない。しかしさまざまな利権が絡んでいるから各電力会社は原発の再稼働を求めている。

        発電コストの低減を考えると、原料単価の低い発電方法を増やすわけだから原発依存度を高める考え方はわからなくはないが、それはあくまで原発が「まったく事故が起きない前提」で語られている。昨年の東日本大震災で発生した福島原発事故はその前提を根底から覆したわけで、日本が地震大国である以上、マグニチュードをいくつに想定しようが地震起因の原発事故が起きる確率はゼロにはできない。つまり理論的には日本全土で同様の地震が発生して全原発が事故を起こした場合、日本のどこにも住めなくなる状況に陥る可能性もゼロではないのだ。

        人間は誰でも一度大きな災難に遭うとしばらくは大丈夫と思ってしまいがちだが、天変地異というのは人間の考える領域外で起こるわけであり、人間にとっては大災害でも地球という天体レベルではたいしたダメージではないわけで、地殻変動による地震やマグマの地表噴出による火山噴火などは今後も起きる。そういう緊急事態が発生したときに人間自身がコントロールできないものは人間自体を、ひいては今の生態系自体を滅ぼすことにつながり、原発はその一つの因子であると思うのである。


        • ライフ、出店ペース2倍 食品スーパーやコンビニに対抗・・・3年で50店、500億円投資
        食品スーパー最大手、ライフコーポレーションは2013年2月期から3年で、新たに50店を開く。従来の2倍の出店ペースで、既存店の改装なども含めて過去最大規模の700億円を投資する。首都圏などの食品市場では、コンビニエンスストアが総菜・生鮮類を強化。食品スーパーの売上高は伸び悩んでいる。ライフは積極投資で、顧客争奪戦に備える。
        ライフがうまくいくかどうかは知らないが、スーパー業界がその品揃えと価格を全面に出してコンビニ業態にぶつけると、コンビニ業界は釣られて値下げをせざるを得ず、これまでフランチャイジーと本部で分けあっていた利益構造が崩されるから、バタバタとつぶれるコンビニが増えるだろう。ただし、スーパー側としてもコンビニよりもはるかに大きな店舗規模でそれを実現するには多大なコスト増が見込まれるので、どこでコスト吸収するかやオペレーションコスト構造を改革する必要はある。また、大手コンビニチェーンはスーパー業態を抱えているところもあるため、ライフのやり方に追従するとグループ内で共食いするハメになる。過去にデパート業界を駆逐したスーパー業界、そしてスーパー業界を駆逐したコンビニ業界、そして今コンビニ業界をどこが駆逐するのか見どころである。


        • 任天堂 ネット通販を打ち切り
        「Wii」を使って動画のダウンロード販売や、食品や衣料品などをネット通販するサービス「Wiiの間」を4月30日で打ち切る。
        テレビにせよ、テレビゲーム機にせよ、リビングPCにせよ、何かとお茶の間で主導権を握ろうとマルチパーパス型の端末サービスを提供したがるが、うまくいっているところを見た試しがない。ゲームは所詮ゲームであり、仮にそれよりも付属サービスのほうが便利だったとするとその瞬間からその端末はゲーム機でなくなってしまうので、根本的にユーザーがそれを求めていない気がする。
        ではスマートフォンはどうなのかというと、これは電話機に付属機能がついたのではなく、パソコンに近い携帯型端末に電話機能がついたというのが正しい。そしてこれが受け入れられているのは、従来ノートパソコンと携帯電話を別々に持たなければならなかったのが、一つに集約できてかつ、携帯利便性も向上したからに過ぎない。しかし通信コスト等の問題が残っていて、いまだに携帯電話とスマホを別々に持つ、あるいは会社用と個人用で携帯電話やスマホを2台持ちしている人も多く、そのような点がサービス改善の余地を残していると感じる。



        • グリー カードの交換機能再開
        ソーシャルゲーム「探検ドリランド」で停止していたカードの交換機能を再開した。不正に複製できる不具合の再発防止や調査にメドが立ったため。
        ゲーム内の仮想通貨で購入できる商品をヤフオクなどでリアルマネーで販売するというのは不正を招きやすい。今回は国内だったからそれほど騒ぎになっていないが、仮に海外だと正規に使用しているユーザーから訴訟を起こされるリスクもある。今後海外展開を目論んでいるグリーとしては、この点を投資家に突っ込まれる可能性がある。また、自社開発している場合は社内の開発者による意図的な不正も考えられるため、社内チェック体制などを見直す必要があると思われる。


        • 取次最大手の日販、本「買い切り」導入へ出版社・書店と協議 ・・・返品制限し生き残り
        出版取次最大手の日本出版販売(日販)は書籍の取引で、書店からの返品を制限する「買い切り制」を導入する方向で大手出版社や書店と協議に入る。現在、書店は売れ残った書籍を原則として自由に返品できるが、取り分(売上総利益)が少ないうえ、返品コストは出版社や取次の収益を圧迫している。市場の縮小が続き、電子書籍の普及も始まっていることから、商習慣を改め業界全体の生き残りにつなげる。
        従来は返本自由な代わりに書店が価格決定できない再販価格維持制度を適用していたが、書店の利益率を高める代わりに返本を制限し、そして書店は値下げなどで在庫処分することをできるように変えるのが趣旨のようだが、これは書店間での値引き競争を生む可能性があると同時に、出版社や取次からの在庫押し付けにより書店の収益を圧迫するリスクも生む。しかしながら電子書籍等の普及に危機感を感じて業界最大手が商習慣を改めようとすることは時すでに遅しの感もあるが、前向きに評価できる。

        2012年2月21日火曜日

        Feb.21 (Tue) .2012

        ◆ 日経拾い読み


        • 光市母子殺害 元少年の死刑確定へ 当時18歳、最高裁が上告棄却
        山口県光市の母子殺害事件で殺人や強姦致死などの罪に問われ、差し戻し控訴審で死刑判決を受けた犯行時18歳の元少年(30)の上告審判決で、最高裁第1小法廷(金築誠志裁判長)は20日、「刑事責任はあまりに重大で、死刑を是認せざるを得ない」として被告側上告を棄却した。事件から約13年を経て、差し戻し審を含め5回目となる判決で死刑が確定する。
        最終的に刑が確定するまで13年間。原告の本村さんとしてはとても長く苦しい期間だったことと思う。しかし彼がこれまで訴えてきた司法の問題点については被害者保護の観点で多くの点が改善された。そういう意味では本村さんの果たした役割は大きかったのだろうが、彼自身が犠牲にした妻や子供、そして13年間という長い月日は誰かが救ってくれるわけではない。今回の最高裁の判断でも一裁判官は反対意見を述べたという。裁判官は客観性が求められるのはわかるが、死刑反対論者が我が物顔で主義主張を唱えるのは違和感がある。自分の家族や肉親が同様な被害を受けて命を落としても彼らは平然と同じ主張をするのだろうか?

        2012年2月20日月曜日

        Feb.20 (Mon) .2012

        ◆ 日経拾い読み


        • パートの主婦170万人保険料 ・・・社会保険適用拡大案、厚生年金の受給可能に
        政府が検討中のパートへの社会保険(厚生年金・企業健保)の適用拡大案では、パートで働く主婦の負担と給付が大きく変わる。年収120万円の主婦が夫の扶養家族扱いを抜けて社会保険に入ると、保険料(本人分)はゼロから年16万円に増える。一方で老後は厚生年金を受け取れる。企業は負担増となり、なかでもパートの多い流通業は打撃が大きい。政府は3月の法案提出を目指すが、調整は難航しそうだ。
        これはいくつかの問題をはらんでいるが、まずは徴収される掛け金以上に年金がもらえるわけではないという(つまり本人は現在の手取りが減ってその減った分を後からもらうだけなのでメリットがない)前提で、単純に現状国民年金や共済年金の負担が減り、厚生年金の負担が増えることを意味する。現状の年金制度は賦課方式(年金を支払う世代が受給する世代を支える構造)であるかぎりは、少子高齢化の進む現在では成り立たないことは明らかで、仕組みそのものを変えない限り破綻するに決まっている。パートや短期雇用者から年金掛け金を徴収したとしてももともと単価が低いのだから効果は薄いし、同額企業が負担するわけだからこれを嫌う企業はパートの削減に走らないとも限らず、そうなるとさらなる景気の鈍化が進むだけである。

        2012年2月19日日曜日

        Feb.19 (Sun) .2012

        ◆ 日経拾い読み


        • 天皇陛下の手術、無事終了 心臓バイパス「2週間程度で退院」
        18日午前から東大病院(東京・文京)で行われた天皇陛下の心臓の冠動脈のバイパス手術は同日午後、無事終了した。同日夜に病院内で記者会見した医師団は「手術は予定通り終了し、手術後も順調」と発表。順調にいけば2週間程度で退院できるとの見通しを示した。
        執刀医は順天堂大の天野教授だったようだが、東大病院としては煮え湯を飲まされていたような顔をしていたのが気持ちを表していた。手術内容としては、冠動脈の血流改善のために左右の内胸動脈2本を冠動脈にバイパスするものらしい。なお手術中に不整脈が発生したらしいが、そうなると血液中に血液凝固から血栓が発生し、その塊が脳に行くと脳梗塞を引き起こす可能性もあるため、血栓のたまりやすい左心耳を縫合する処置を施したようだ。天皇陛下には早く回復して公務復帰してもらいたい声もあるが、ご年齢からくる身体の衰えもあるだろうから、これを機に今後のご公務についてはご負担を減らすべきだと思うし、そのような動きが出てくるだろうと思う。

        2012年2月18日土曜日

        Feb.18 (Sat) .2012

        ◆ 日経拾い読み


        • 公務員給与削減が決着・・・民主、自公案丸呑み

        17日、民自公3党合意。

        ・ 0.23%下げの人事院勧告を2011年4月にさかのぼって実施
        ・ 12、13年度は11年度の人勧を含め10年度比7.8%削減
        ・ 自衛官は震災対応の労苦に配慮
        ・ 地方公務員への波及は国会審議を通じ合意を得る(付帯決議を採択)
        ・ 国家公務員制度改革関連4法案は審議入りと合意形成に向けて環境整備

        民主党の主張は、公務員給与削減とセットでの国家公務員に対する労働基本権の付与だったが、自公は拒否した。一方、自公の主張は地方公務員へも同様の給与削減を盛り込む案だったが、これは国会での付帯決議とすることになった。
        国家公務員への労働基本権付与は、人事院や人事院勧告を廃止し、労使交渉で給与等の待遇を決めていくということだが、一般的には労使交渉は労働組合と経営者が行うのに対して国家公務員の場合は政府がやるにせよ、霞が関がやるにせよマッチポンプとなりやすい。また、民主党とその支持母体である連合とは、「一時的に給与削減するけど労働基本権を与えて人勧をなくすから後から上げたらいいんだよ」という談合がされているようにしかみえない。どちらにせよ、今回7.8%削減するというのも元々国家公務員の給与引き下げを過去に行なっていたのが現在戻っているので再度下げるようなフシがあり、それほど国家公務員にとっては痛みを伴うものではない。民間の平均給与を大幅に上回っている(地方も含めた)公務員の給与は、その民間に務めている方々が支払っている税金から支払われているわけだから、妥当な水準への是正措置を断固進めていかないと国民全体に波及する消費税や年金の制度変更への理解は得られないだろう。


        • TPPの誤解薄らぐ・・・公的医療保険廃止の要求なし、関税撤廃 例外の余地
        TPP反対派が声高に訴えてきた、「TPPに参加すると日本のメリットのある仕組みがつぶされ、国民生活に支障をきたす」といういくつかの項目はガセだったのが判明しつつある。日経の記事では、アメリカの保険業界から日本郵政の「かんぽ生命保険」に物言いがついているとのことだが、これは以前から国内の民間保険会社からも同様の問題提起をされていたものだから、TPP参加でどうこう言われている話ではない。また、TPP反対派からはすでに参加しても遅いから決められたルールに日本は従うしかないといった主張も、実はまだ調整の余地があることも判明。

        そもそもこのような世論を二分するような疑心暗鬼を生み出している原因は、TPPの中身がわかりづらくメリット・デメリットが明確に判断できないから起きているわけで、それを明らかにしていくのはマスコミの役割である。マスコミはTPP参加の是非を主張する権利は無く、粛々と中身について正確な内容を読者・視聴者に知らせて議論を深めさせることが重要で、今の報道では是非を高らかに謳っているそれぞれを取材してその内容をもとに報道しているようなレベルでは政治家も正確な判断がしづらいだろう。


        • 消費者ローン減少続く・・・昨年末残高2割減
        日本貸金業協会が17日発表した2011年末時点の消費者向け無担保貸付残高は5兆6279億円となり、前年末より22.7%減少した。集計を開始した07年から減少が続いており、07年末(13兆7千億円)と比べると6割減った。借入総額を制限する改正貸金業法が完全施行された10年6月以降、減少傾向が強まっている。

        これは単に借入が収入の1/3を超えてはならないという総量規制によって借りれなくなった人が増えているから起きている現象で、では実際そういう人たちはどうしているのかというとさらにブラックなヤミ金などの非合法金融から借入をするハメとなっている。サラ金にしてもヤミ金にしても、すでにそういった高利の業者から金を借りる時点で短期一括返済しない限りは元金の支払いが不可能になるので利息だけを払い続けることとなり、その後利息も膨れ上がってそれを返済するために複数の高利貸しからまた借金するという悪循環に陥るだけなので、最初から利用することはおすすめしない。

        2012年2月17日金曜日

        Feb.17 (Fri) .2012

        ◆ 日経拾い読み


        • 橋下市長、強気 「国政進出メンバー準備」 国の審議会で都構想説明
        大阪市の橋下徹市長は16日、総務省で開いた地方制度調査会(首相の諮問機関、会長・西尾勝東大名誉教授)の専門小委員会に初めて出席した。自ら代表を務める「大阪維新の会」が国政進出に向けた政策集「維新八策」の原案をまとめたばかりだが、もともとの公約である「大阪都構想」について話した。
        みんなの党以外は維新八策発表後は気が引けた感がある。しかし維新の会が憲法改正案件をあげたということは自分たち国会議員にも影響がある話であり、各党とも上から目線で「実現は難しい」などとほざいている場合ではないと思う。維新の会が立ち上げる政治塾には既に3000人を超える応募者が来ており、これまでの小泉チルドレンや小沢チルドレンとは趣の異なる次期立候補予定者が集まってきているわけだから。


        • 東証、障害報告書「システム過信」 ・・・人為のミス連鎖指摘、「取引停止、防げた」
        東京証券取引所は16日、今月2日に株価情報配信システムに障害が発生し、241銘柄の午前中の取引を停止した問題の調査結果を発表した。直接の原因はサーバーの故障とソフトの不備だが、データの読み違いや報告の遅れなど初歩的な人為ミスが重なった。東証は「適切な対応をすれば取引停止は避けられた可能性が高い」と分析。報告書で「システムへの過信があった」とし、再発防止へ運用体制を全面的に見直す。
        システムはどんなに強固に構築しようが結局は運用するのは人間である。だから運用体制が整備されていなければどんなに素晴らしいシステムを作ろうがこういったトラブルは必ず起こる。システムを過信していたなどと擬人化して表現したところで、結局は運用体制がヘボだったから今回の事故が起きたとしか言いようがない。


        • ユニー、サークルKサンクスを完全子会社化 ・・・仕入れ・物流統合 持ち株会社に移行
        スーパー3位のユニーは16日、47.28%を保有するコンビニエンスストア子会社のサークルKサンクスにTOB(株式公開買い付け)を実施し、完全子会社化すると発表した。すべて取得した場合の金額は765億円。ユニーは2013年2月21日付で持ち株会社に移行する。店舗開発や商品戦略を強化してイオン、セブン&アイ・ホールディングスの2強を追う。
        名古屋の会社だからそうだとは言わないが、今頃か、という感じがする。

        2012年2月16日木曜日

        Feb.16 (Thu) .2012

        ◆ 日経拾い読み


        • 政府、イラン危機へ対処検討 ・・・ホルムズ海峡へ海自の派遣視野
        政府は核開発を巡って欧米諸国と対立するイランでの危機に備えて自衛隊による対処策の検討に入った。原油輸送路となるホルムズ海峡の封鎖を想定。民間船舶の警護や機雷除去のための海上自衛隊派遣を視野に入れ、法制面の課題を詰める。現行法での対応だけでなく、特別措置法などの制定も選択肢に入れる。
        ホルムズ海峡は日本向けの原油の8割以上が通過する重要な拠点で、仮にイランがここを封鎖した場合には安定した原油の確保が難しくなるリスクを抱えている。自衛隊を派遣する話もあるが、実際にここで何がしかの事故が発生した場合は各企業は輸入停止に踏み切る可能性もあり、そうなると原油価格のさらなる高騰を招き、石油製品などが値上がりするかもしれない。


        • 「石原新党」にも影響 ・・・維新の会」政策集
        橋下徹大阪市長が率いる「大阪維新の会」の政策集原案について、たちあがれ日本の平沼赳夫代表は15日の記者会見で、首相公選制導入などを念頭に「国家観がない。憲法改正事項が非常に多く、彼らは本気で考えているのかという感想を持った」と不快感を示した。
        国民新党の亀井氏はTPP参加に反対している。そして、平沼氏と亀井氏は石原氏を担いで新党結成を目論んでいるが、橋下氏と気の合う石原氏が新党結成後に維新の会と連携しようとした場合に、この点がネックとなる。しかし裏を返せば橋下氏または維新の会が亀井氏らとは組みたくないという姿勢が明確にこれに現れているわけなのだが、まだどうやら本人たちにはわかってないらしい。


        • 日航スピード再生 リストラで収益改善・・・新体制発足、搭乗率なお低迷
        日本航空は15日、臨時株主総会後の取締役会で植木義晴専務執行役員(59)が社長に就任し、新体制が発足した。同日発表した5カ年経営計画(2012~16年度)では、500億円のコスト圧縮と低燃費機材の積極活用などで、安定的に利益をあげる体質を目指す。今秋の株式再上場に向けて、収益回復は一定の成果をみせた。搭乗率の引き上げと、“ポスト稲盛”をにらんだリーダーシップの発揮が新体制の課題だ。
        日航は約2年前に過去最大の2.3兆円の負債を抱えて実質倒産し、企業再生支援機構を通じて公的資金を受け、京セラの稲盛会長を迎えて再建に取り組み、今回ある一定の回復を果たしたということなのだろうが、重要なのはこれからだろう。航空業界はLCCの参入もあって価格破壊が進んでおり、一方でグローバルな航空会社グループの動向も変化しているので、国内では全日空や格安航空会社などとの差別化をどうしていくか新たな日航の立ち位置をはっきりさせることが求められる。


        • 虚偽記載、指南者も処分・・・金融庁法改正へ 報酬を全額没収
        金融庁は、オリンパスなど企業の開示書類への虚偽記載が相次いだことを受け、行政処分の対象を広げる方針を決めた。損失飛ばしの手口を指南したり、資金移動を引き受けたりすることで虚偽記載を支援した第三者も処分の対象に含める。受け取った報酬などを課徴金として没収する。処分対象の拡大で有価証券報告書などへの虚偽記載を抑止し、日本市場の透明性向上につなげる。
        第三者への報酬をどのように特定するのか、調べる場合は強力な捜査権限が必要になるとは思うが、粉飾決算と会計処理の工夫は紙一重なので一般的には事後法にしかならない気がする。
        ところでオリンパスの元会長が逮捕されたようだ。


        • 政府、休眠預金の活用案表明・・・実現にはハードル高く
        政府は15日、銀行などで10年以上資金の出し入れのない「休眠預金」を東日本大震災の復興資金などに活用する案を検討すると表明した。ただ、活用には預金者の財産権の侵害問題や管理コストなどハードルは高く、実現するかは流動的だ。
        これこそ埋蔵金なのかもしれないが、これは国の所有物ではなく個人が民間企業に預託している資産である。こんなやり方を認めれば他の休眠資産も国が没収できるような考え方になりかねない。


        • ハイアール、「三洋」製品投入 高価格冷蔵庫など60種・・・中韓大手、日本で攻勢 サムスンは有機ELテレビ
        中国と韓国の電機大手が日本の家電市場への攻勢を強めている。中国・海爾集団(ハイアール)は15日、三洋電機から取得した冷蔵庫と洗濯機で「2015年に国内シェア15%を目指す」と表明した。三洋の開発力をいかした高価格帯の製品60機種以上を投入する。韓国勢ではサムスン電子が13年をめどに日本の薄型テレビ市場に再参入する方針だ。世界で圧倒的な存在感を持つ中韓企業が攻め入ることで、日本企業で分け合ってきた国内市場の構図が大きく変わる可能性がある。
        日本製品の技術開発力を持った中国メーカーは脅威となるだろう。国内大手メーカーは三洋だからと思って高を括ってそうだが、そういう危機感では液晶テレビと同様にシェアを落とすだろう。また、彼らは中国国内市場への影響力は日本企業よりも強いので、国内メーカーの中国市場攻略に対していずれ高いハードルとなる可能性もある。

        2012年2月15日水曜日

        Feb.15 (Wed) .2012

        ◆ 日経拾い読み


        • 日銀、脱デフレへ緩和継続 「物価上昇1%めど」明示 ・・・国債買い入れ、年40兆円に 
        日銀は14日の金融政策決定会合で追加緩和策を決めた。会合後の記者会見で白川方明総裁は「消費者物価上昇率1%が見通せるまで強力な金融緩和を推進していく」と述べ、デフレからの脱却に向けて資産買い入れを続ける方針を表明した。また資産買い入れ基金を10兆円増額し65兆円とする結果、日銀による長期国債の買い入れ額は年間40兆円規模に膨らむ。一段の政策対応で、成長力強化の後押しを狙う。
        日銀何やってるの?という周りからの圧力に屈してやむなく出したような感じだが、物価目標を明示したことはほんの少し前進した。ただデフレからの脱却にはこれらの金融政策だけでは無理ということを日銀自身もわかっていて、あえて目標義務や達成責任には言及していない。デフレの脱却には経済の成長とさらなる金融緩和策が求められるが、そこまで踏み込まないところが日銀らしいというか役人仕事というか、FRBとの大きな差である。


        • 「維新の会」近づきたいけど…与野党、間合い探る 政策集「一緒」「性急な印象」
        橋下徹大阪市長が代表を務める地域政党「大阪維新の会」がまとめた政策集原案が14日、与野党に波紋を広げた。各党とも次期衆院選をにらみ協力姿勢を示したいのが本音だが、首相公選制の導入など実現への壁が高い政策も多く、間合いをはかりかねている。
        これは橋本流の戦い方かもしれないが、まず花火を打ち上げて賛成と反対集団にグルーピングし、反対集団を抵抗勢力と位置づけて民意を得るやり方なのだろうか。憲法改正は衆参両議院の2/3以上の賛成と国民投票の過半数の賛成を必要とするので、憲法改正を要する案件については実現不可能だという政治家もいるが、であれば憲法改正はいつできるのか?そもそも敗戦後に戦勝国から与えられた憲法を金科玉条のごとく改正もできずに70年近くも運用してきたことが問題であって、まずは憲法改正を今よりはやりやすくするための要件緩和が維新の会の狙いだと思う。その後第9条の問題とかが噴出してくると思うが、いきなり9条をターゲットに憲法改正を目論んできた過去の政治家たちよりはよほど賢いやり方だろう。


        • 東電の責任明確化狙う 普通株で経営権 ・・・経産相「資金注入、りそな方式で」 資金回収の道筋読めず
        基本方針としては、

        ・ 出資は普通株とし、原子力損害賠償支援機構が2/3以上の議決権を持つ。
        ・ 公的資金注入にあたって東電側の経営責任を明確化する
        ・ 資本注入後も上場は維持する

        財務省は機構の議決権は1/3程度に留めるよう求めているが、枝野経産大臣は経営権の掌握を前提として主張している。東電は経営権を握られない過半数未満での取得を主張しており、どこで落とし所を作るかだが、おそらくは悪くとも51%程度で大臣の顔を立てるのではないかと見ている。

        ただ、枝野氏がここまで東電の経営に対して強硬に主張するのは、憶測だが東日本大震災の際の東電の対応によほどなにか腹に据えかねることがあったのではないだろうか。経営陣を変えようとするのは当時の経営陣の言動を信頼できない、そして原発被害への補償をする際にも膨大な手続き書を配布して住民を混乱させたり、そういった一連の企業姿勢に相当の不満を持っているように感じる。特に枝野氏は震災発生時1週間ほどは寝る間もなく記者会見に出ていたことから、当事者としての危機感はもっとも強かっただろう。東電の今後の姿勢にあまりに誠実さが欠けるようなら、ひょっとして当時の経営陣のダメっぷりを枝野氏が暴露することもあり得る。


        • ギリシャ経済、低迷続く 10~12月GDP7%減 ・・・緊縮策で冷え込み
        民間企業の経営とは違って国で緊縮策と増税を行ったらどうなるか、日本政府も景気後退時に増税するとどうなるかという意味でよく見ておくといいと思う。増税すると間違いなく経済は失速するし、政府が財政出動を抑えるとさらに冷え込む。今のギリシャは瀕死でほぼ助からない患者に一生懸命輸血しているようなもので、フランスやドイツは「蘇生させようとでき得る限りの努力をしたが及ばなかった」と後日コメントするだろう。


        • 商標侵害、通販サイトも責任 ・・・知財高裁判決「指摘後も放置なら」 「楽天は対応」賠償責任認めず
        これは原告のイタリアの企業が自社商標つきのロゴ入りグッズが楽天市場で売られていることに対して運営企業の楽天に商標侵害差し止めと賠償を求めていたもので、一審では楽天は当事者ではないとして請求が棄却され、原告側が控訴していたもの。

        法的な解釈にはいろいろあるのかもしれないが、一般的なビジネス感覚としてはモールとして売場を店子に貸している楽天が店子に対する一定の管理責任を負うのは当たり前だと思う。楽天がモールからなんの収入も得ずにボランティアとして場所貸ししているならまだしも、ここでの店子からの販売手数料収入が本業のほとんどの利益なんだから、違法な営業をしている店子を放置して善意の第三者として振る舞うのはおかしい。今回のケースでは楽天は原告からの指摘から商品を8日以内に削除して問題を是正したので賠償はしないという姿勢だが、一般的にはこういうのは即日対応、遅くても一両日中に対処するのが当たり前なので、その点楽天は認識が甘い気がする。

        2012年2月14日火曜日

        Feb.14 (Tue) .2012

        ◆ 日経拾い読み


        • 東電と国、最終攻防 資本注入に5条件・・・経産相、議決権「3分の2」視野 社長「民営望ましい」
        東京電力の公的管理に向けた最終攻防が始まった。枝野幸男経済産業相は13日、1兆円の公的資金を資本注入する前提として、国が3分の2以上の議決権を得ることを視野に東電の経営権を掌握することや、経営責任の明確化など大きく5つの条件を示した。一方、東電は経営権を巡る結論を留保し、政府内にも異論が残る。世論の動向もにらんだ神経戦が続く。
        経営主導権を政府が持つのか現経営陣に持たせるのかでモメている。以前にも触れたが、公的資金を注入するのならさっさと国有化したほうがよい。東電の原発問題に対する補償範囲については、東電自身の責任に帰するものもあれば、東電ではどうしようもなかったものもある。その線引きを東電自身ができるわけないしやらせるとろくなことにならない。まずは国有化して東電の今後の姿をまず描き、資産圧縮やコスト効率化などで賠償金原資を確保しつつ、埋まらない部分を公的負担でカバーできるよう法律を制定し、その後民営化、再上場するスキームを走らせて、そこまで見届けて国はイグジットする。国がここまで関わるのだからついでに他の電力会社の改革も一緒にやってしまえばよい。ポイントは民間人経営者をきちんと揃えることと、役人を経営に関与させないこと、そして現東電会長と社長は退任させることだろう。今の社長の西岡氏は勝俣会長の懐刀といわれており、実質的に社長の発言は会長の意思を社長が述べているにすぎないからだ。現在の消費増税反対意見と同様、国が見直すべき点をそうせずに増税するのは反対が起きているように、東電も自身の経営改革やコスト削減努力をせずに値上げに走ることは世論の大きな反発を受けるだけである。


        • 維新の会、TPP・消費増税に前向き 衆院選公約案、首相公選制など実現に壁
        橋下徹大阪市長が代表を務める地域政党「大阪維新の会」は13日、次期衆院選に向けた政策集原案をまとめた。国政選で争点となる環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加などを掲げ、経済と外交で現実路線を鮮明にした。一方で首相公選制導入など憲法改正を伴い、実現にはハードルの高い課題も盛り込んだ。


        「維新八策」原案

        (1)統治機構改革
        ・ 地域の実情にあった都市制度の創設
        ・ 道州制の導入、地方交付税廃止

        (2)行財政改革
        ・ 国会議員定数と歳費を削減

        (3)公務員制度改革
        ・ 職員基本条例案の法制化

        (4)教育改革
        ・ 教育委員会を諮問機関に位置付け選択制に

        (5)社会保障制度
        ・ 年金は積み立てと掛け捨ての併用を検討
        ・ 最低限の生活を保障するベーシックインカム導入

        (6)経済・税制
        ・ TPP交渉に参加
        ・ 法人税率と所得税率の引き下げ、資産課税の強化

        (7)外交防衛
        ・ 日米同盟を基軸に日米豪の関係強化、沖縄の負担軽減

        (8)憲法
        ・ 憲法改正に必要な衆参両院の賛同を2/3から1/2に

        詳細はこれから煮詰め、2月下旬に正式に発表するようだが、パッと見て感じるのはここまでの内容を本当にできたら日本は大きく変わるだろうな、ということである。大きな柱としては、国と地方の関係を見直してカネの流れも見直す、国家運営システムとしての首相選択や議会のあり方を見直す、税制や年金制度などの所得再分配のあり方を見直す、そしてこれらのシステムを変更するための憲法改正要件の緩和ということだろう。

        よく橋下市長が口にしている、「決定できない民主主義」をもっとも体現しているのは日本の首相である。内閣総理大臣は行政府のトップでありながら、あらゆることは閣議決定が必要で議会の承認も必要なので、アメリカの大統領のような強大な権限を持てない。それはトップが暴走することを防ぐブレーキ役としては機能するが、多くはスピード感を失いやすくトップダウンの指示ができない原因でもある。だからこそ、逆に総理大臣の責任が軽んじられ、派閥からの持ち回りで総理に就任したり、軽率な判断・発言をしても内閣や与党、議会でフォローされて成り立つようなもたれ合いの構造を育んできた。衆参両院制度についても現状では形骸化している点は否めず、今のような与野党のねじれ現象を生んだ際は何一つ重要な法案が決められないという問題点をはらんでいる。

        そのような国家運営システムを維新の会が変革するためにはまずは国会議員を相当数送り込む必要がある。大阪市長に就任したばかりの橋本氏は立候補しないと言っているが、それは仮に立候補すると「足下の大阪市すら実績も出さずにほったらかして国政に進出するのか」という意見を封じ込めるためと、「国を変えるのなら維新の会のトップである橋本氏が衆院選に出馬しないのはおかしい」という意見を生むためでもある。おそらくはその意見のバランスで今後の橋本氏の動向が決まってくるのだろうが、既存の国会議員も牽制したり維新の会人気にあやかろうとするのではなく、真の意味で日本をどうしていくのか、どうしていくべきかという視点での考えをぶつけていくとか行動に示していくべきであろう。単に橋本氏の動向に左右されているだけの国会議員はそれこそ税金の無駄遣いであり、議員定数も減らされて当たり前だと思う。


        • パートへ社会保険適用拡大 企業負担最大5400億円増・・・厚生年金・健保、370万人加入で試算 厚労省
        厚生労働省は13日、パート労働者に社会保険を適用した場合の企業負担を試算した。370万人のパートが厚生年金・企業健保に新たに加入すると、5400億円の企業負担が発生する。このため、厚労省は加入対象者を段階的に増やす激変緩和措置をとる。ただ、パートが多い流通業や経営が厳しい中小企業は負担増に反発しており、調整の難航は必至だ。

        企業が負担に反発するのは当たり前で、これは何を意味しているかというと国民健康保険の財政難からくる原資不足をパートと企業に対して負担をつけ回しているだけなのだ。パートはこれまで国保だったものが社保となって個人負担が減って嬉しいかもしれないが、実はその負担減以上に保険料を会社を通じて国に納めることになり、可処分所得が減る。企業はこれまで正社員と長期雇用あるいは長時間勤務するパートに対して支払っていた社会保険料に加えて、短時間のパートも対象になるので人件費が増大する。そのようなパートは外食産業やスーパーなどで多く働いているので、そういった企業の経営者は反対をしている。

        民間企業では従業員給与や賞与以外に社会保険料、雇用保険料(失業手当の原資)、介護保険料や厚生年金の一部、退職積立金などを負担しており、一般的にはその額は従業員個人に支払っている給与の2/3から同額となっている。つまり月給30万円の社員の人件費は、会社から見れば45~60万円の負担として計算している。これまでは終身雇用制度が中心だったから会社としても生涯従業員の面倒を見るのならばそれなりの負担は雇用コストとして応じられるものだったが、現在では雇用は流動化しているうえに保険料負担率のアップは国の財政難のしわ寄せを押し付けられているのでたまったものではないだろう。

        そもそも各企業の人事や総務に業務として存在する年末調整だとか源泉徴収票の発行などは個人にさせてもよいもので、自営業者や一定の年収以上の人たちは個人で税務申告を行なっているしアメリカではすべて個人が行なっている。国や自治体が個人とすべき業務を会社にさせている、このような業務を全体で見直すだけで民間企業の人件費は大幅に改善すると思う。


        • 家電量販、スマホに軸足・・・大手5社、4~12月経常減益で転換 TV失速、改装急ぐ
        家電量販店大手の2011年4~12月期決算が13日出そろった。家電エコポイント制度と地上デジタル放送への完全移行(東北3県を除く)という、薄型テレビの販売をけん引してきた2つの特需がなくなり、昨年8月以降、テレビの売り上げが急減速。家電量販店大手5社の経常利益はそろって前年同期に比べ1~4割の減益になった。各社は大幅改装でスマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)売り場を増やすなど、テレビ不況への対応を急ぐ。

        「テレビ不況」とあるが、そもそもエコポイントによりテレビ売上が急伸したことが異常であり、通常に戻ったというほうが正しいだろう。家電量販各社はテレビ売場を縮小してスマホ売場を広げているらしいが、テレビとスマホでは商品容積とラインナップ数の違いから確実に必要売場面積が減るはずなので、売場のアコーデオンでは吸収できないだろう。また、スマホは家電商品ではなく電話機の扱いなので交渉は家電メーカーではなく通信キャリア各社との交渉となる。ここでは家電量販業界以外に携帯電話販売会社もいるので、家電量販各社の言い分が100%通るわけではないだろうから、今後家電量販業界での業績の差がこれまで以上にはっきりとしてきて、新たな合従連衡を生む可能性がある。

        2012年2月13日月曜日

        Feb.13 (Mon) .2012

        ◆ (本日は日経休刊日)

        歌手のホイットニー・ヒューストンさんが宿泊先のホテルで急死しているのが見つかった。1985年にデビューして以来、1億数千枚ものアルバムを販売するなど、アメリカでも大成功した一人だが晩年は離婚、ドラッグ中毒などでスキャンダルを報じられることが多くなっていた。

        スターと呼ばれる人たちは、きっと通常では考えられないほどの精神状態に追い込まれるのだろう。大金を手にし、周囲は誰もが自分をもてはやし、さらなる活躍を期待する言葉を投げ掛けられる。最初はその成功を楽しみ、いつまでもこの時間が続いてほしいと思うが、徐々に孤独感が深まっていく。あらゆる自分の言動が神格化されていき、素の自分とのギャップもどんどん開く一方で漠然とした不安にさいなまれていく。ときには本当の自分を理解してほしい、本音をぶちまけたい衝動にかられるが、神格化されたキャラクターがそれを許さない。周囲は成功して何が不満なのか訝しがるだけで誰も本当の気持ちを理解してくれようとしない。そういった状況におかれて奇行に走ったり、酒やドラッグに溺れて名声を失墜させてしまうスターも過去から数多くいた。もちろん生涯をスターのまま人生をまっとうする人も多くいるが、スターという存在に本来の自分を潰されてしまう人もいる。ホイットニーは後者と位置づけられるのかもしれないが、そのほうがある意味人間らしい生き方をした人のように思える。
        Rest in peace.


        天皇陛下が心臓の冠静脈のバイパス手術を受けられるそうだ。今上天皇は御年78歳、民間人であればとっくに引退している年齢にもかかわらず、いまだに数多くのご公務をこなされておられる。戦後、日本国憲法の制定により皇室は国・国民の統合の象徴と位置づけられ、政治への無関与が規定されている。125代にわたって継承されてきた天皇のなかで、今上天皇は唯一即位してから政治行為を明確に許されない位置付けでの皇位をまっとうされておられるわけだが、日本国民としてはそれがなにか心の中でモヤモヤとした糸が絡まったような感情を覚える。皇室の存続を議論するなかでは皇位継承は男系男子でなければならないとか、女性宮家を創設して皇室人員を減らさないようにするだとかいろいろあるが、現在の日本の統治システムのなかで皇室の役割をどうすべきか見直す必要があるのではないかと感じる。日本国憲法ならびに皇室典範は、大日本帝国憲法下で戦争に突入し終戦を迎えた昭和天皇を対象にGHQが草案を起こして作られたものであり、その後日本は民主主義国家として極めて平和的に運営され、皇室も過敏なほど政治的行動からかけ離れた立ち位置での活動をされてきた。陛下のご年齢を考えると現在の国事行為は明らかに負担となっており、秋篠宮殿下は天皇陛下のご公務に定年制を設ける考えもあるのではないかと間接的に苦言を呈されている。今後の陛下のご負担を減らすということも重要だが、皇室のあり方やご公務のあり方について、政府や議会は皇室のご意見を尊重しつつ改善に向けた検討をしていくべきであると考える。

        2012年2月12日日曜日

        Feb.12 (Sun) .2012

        ◆ 日経拾い読み


        • 自民・石原氏「父は幹事長経験ない」 都知事に反論
        自民党の石原伸晃幹事長は11日のテレビ東京番組で、父の石原慎太郎東京都知事が前日の記者会見で伸晃氏の幹事長辞任を促したことについて「自分は自民党幹事長を経験したことがなく、組織をまとめる大変さは都知事になって分かったのではないか」と皮肉を込めて反論した。

        ともにテレビや新聞でそれぞれ意見を言い合ってるが、芸能人じゃあるまいしこういうのは家でやってくれと思う。


        • 日米欧 現預金2500兆円超 家計、安全志向強める
        日米欧で家計などマネーの安全志向が強まっている。リーマン・ショックや欧州債務問題など、国際的な金融不安が続くなかで、家計を中心に株式などリスク資産の購入を手控える一方、銀行などへの預金が増加。日米欧の現金と預金の残高は日本円に換算すると、昨年9月末で2500兆円と過去最大規模になった。

        内訳は日本が1030兆円、米国が750兆円、ユーロ圏が740兆円(現在の為替ベース)。足元の経済の不透明性と将来への不安が先に立つと、消費が冷え込むのは当たり前。増え続ける社会保障コストと税収減をなんとかしようと対策しているのが消費税のアップと年金制度の見直し。デフレで消費金額が減少していることもあるが、根本的に必要なのはデフレ要因となっている需給ギャップをどうやって解消するのか?という答えだ。需給ギャップは企業の生産性よりも消費が生まれないことで、企業がさらに効率を高め、価格を下げて商品を売ろうとしてデフレが促進されることでさらに大きくなる。それを解消するには消費を増やすか供給を減らすかしかないが、国が供給をコントロールすることはできないのでやはり消費を促進する方法を考えなければならない。消費が伸びれば結果的に消費税収も伸びるし、さらに豊かさを求めて消費を増やそうと借金するものも出てくるので貸出需要も伸びる。こんな簡単なことを置いといて目の前の消費税をアップすることに注力している日本政府、国会議員、財務省、日銀とまあ、これらのお偉方はいったいどこを見て仕事しているのだろう。

        2012年2月11日土曜日

        Feb.11 (Sat) .2012

        ◆ 日経拾い読み


        • 米アマゾン、電子書籍端末「キンドル」4月にも日本発売 ドコモから回線 1万数千円
        インターネット通販で世界最大手の米アマゾン・ドット・コムは4月にも電子書籍端末「キンドル」を日本で発売する。NTTドコモから回線を調達し、携帯回線でネット上の電子書籍を入手できるようにする。価格を1万数千円に抑え、電子書籍サービスの顧客獲得につなげる。

        流通させる出版コンテンツについては直接出版社と交渉しているほか、4月に講談社などが複数の出版社と設立する「出版デジタル機構(仮称)」と一括交渉していくようだ。これが普及すると利用者は書籍の入手をアマゾン経由でするようになるので、さらに書店業界は逼迫し、取次流通も打撃を受けるだろう。コンテンツを保有する出版社は流通ルートがどうあれ売れればそれで良いわけだが、音楽流通はアップルのituneが牛耳り、書籍流通はアマゾンが牛耳るようになってそれでいいのか?ネットのプラットフォームづくりと端末の製造は日本の会社でも十分にできることなのに、シャープはガラパゴスで失敗し、ソニーも苦しんでいる。そこに日本企業が現在パッとしない理由があるような気がする。


        • 解散戦略、焦る自民 会期末にらみ6月…
        自民党が野田佳彦政権への対決姿勢を先鋭化させてきた。橋下徹大阪市長の大阪維新の会や石原慎太郎東京都知事を党首に想定する新党構想をにらみ、選挙準備が整わないうちに衆院解散・総選挙に追い込むべきだとの声が出ている。自民党内には、2012年度予算案成立後に解散を条件として消費増税に協力する「話し合い解散」を求める意見もくすぶっている。

        前回の衆院選で落選した元議員からの突き上げや、低支持率からくる危機感も背景にはあるようだが、自民党は客観的に見て何をしたいのかがよくわからない。民主党を与したいのであればもっと擦り寄った議論をすべきで、そのうえで間違った方向に向かうようであればそれを徹底的に糾弾し、最終的には解散に持ち込むべく民主党支持率を下げるといった戦略が感じられず、自分たちが与党だった時を懐かしむというか、その頃に戻したほうがよいと思っている自民党議員が多いのではないかと感じる。大阪維新の会は次期衆院選を視野に入れて近々マニフェスト的な「船中八策」を発表するが、彼らは少なくとも日本をどういう国にしていくかというビジョンを示してそこに賛意を得られるかを選挙で問おうとしている。自民党に必要なことこそビジョンを示して国民に信を問うための努力ではないだろうか。


        • 大阪維新の会「TPP参加」盛る 国政方針
        地域政党「大阪維新の会」代表の橋下徹大阪市長は10日、国政に向けた政治方針「船中八策」に、環太平洋経済連携協定(TPP)への参加と、日米同盟を外交防衛政策の軸とすることを盛り込むことを明らかにした。

        「TPPへの参加」あるいは賛意を示すだけで拒否感を示すグループもあるかもしれないが、重要なのはTPP参加をするうえでどのような効果を狙い、妥結条件をどの程度にするかをきちんと日本側に用意して臨めるかどうかということだ。その議論される諸条件のなかでどうしても譲れないものと、条件次第では折りあっても良いもの、そしてもともと譲っても良いものがあるだろうから、それらをハンドリングできさえすれば、それほど怖がる協定でもないと思う。アメリカだって所詮交渉するのは人間、損得勘定だけでなく感情もある。国会判断がどうこうよりもそのような交渉を任せられる実務家と政治家がどれだけいるかということだろう。


        • 民主年金試算、詰め甘く・・・最低保障の範囲・所得把握・保険料負担 制度の理念見えず
        民主党は10日、社会保障と税の一体改革調査会の総会を開き、一体改革後に導入を目指す新しい年金制度案について4通りの財源試算を公表した。2015年に消費税率を10%に引き上げるのとは別に、75年度にはさらに2.3~7.1%の上乗せが必要になる内容だ。民主党は週明けから各党に試算を説明し、消費増税を含む一体改革の与野党協議を呼びかけるが、自民・公明両党は慎重で先行きは不透明。あいまいさが残る試算には具体化へのハードルがなお残る。


        ポイントは、最低保障年金の支給範囲、所得比例年金の所得把握方法、保険料率が15%ということだろうが、この内容だけだとよくわからない。もう少し議論が進むのを見て詳細の情報を待つ必要がある。


        • 原賠機構、東電向け1兆円融資要請 無担保・無保証条件に
        原子力損害賠償支援機構と東京電力は10日、東電の取引金融機関に対し、総額1兆円規模の追加融資案を正式提示した。機構は融資条件として、無担保・無保証とするよう金融機関側に通知。実際の融資と、資金が必要なたびに貸し出す融資枠の設定で東電の資金繰りを支援するよう求めた。融資を7千億円程度、残り3千億円程度を融資枠とする案が出ている。

        もう民間企業として存続させるのはどうなのか。賠償だけで数十兆円規模と見られており、今後の廃炉などのコストも考えると、上場廃止して一時的に国営化し、震災対応と経営を切り離して後に民営化するという策も考えられなくもないが、中途半端に民間企業として扱う部分と半国策企業として扱う部分を残して進めると、これからもさまざまな局面で東電経営陣と経産省がぶつかるだけだろう。


        • 日銀「物価目標」見直し・・・「2%以下のプラス、中心は1%程度」 「表現あいまい」批判で決定会合で議論
        日銀は13、14日の金融政策決定会合で、「物価目標」の公表方法の見直しを議論する。米連邦準備理事会(FRB)が打ち出した2%の長期物価目標に比べて「わかりにくい」との声が相次いでいるためだ。4月末に発表する経済・物価情勢の展望(展望リポート)に向けて、意見を集約する見通しだ。

        各国の中央銀行が発表する物価目標のリストを見たが、日銀のものが一番わかりづらい。


        • ビール大手、そろって経常増益へ 今12月期 キリン、3期ぶり サントリーとアサヒは最高 ノンアルコールがけん引
        ビール大手4社の2012年12月期決算は、そろって経常増益となりそうだ。キリンホールディングスは3期ぶりの経常増益を見込み、サントリーホールディングス(非上場)とアサヒグループホールディングスが経常最高益の見通し。若年層のアルコール離れが指摘される中、各社ともノンアルコールビールや清涼飲料の拡販をテコに収益拡大を目指す戦略だ。

        ビール会社がビールではないビールもどきの商品とジュースを拡販して経常増益で万歳三唱している場合ではないだろう。スーパーの売場を見てもビール売場よりも発泡酒や第三のビール、ノンアルコール商品の面積が圧倒的に広い。消費者は既にビールでなくてもビール相当品として認知し、価格も安いのでそちらを選ぶのが定着してしまった今、どのようにして本来のビールを売っていけばいいのか考える必要があると思う。


        • IT新興企業がアプリ 安い類似品紹介し客を誘導 新型広告、スマホに配信
        スマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)のアプリ開発会社、コードスタート(東京・目黒)は、消費者が小売店の店頭で商品のバーコードを読み取ると、より安い類似品の広告や割引クーポンをスマホに配信するサービスを今春にも始める。米国で始まった新しい販売促進の手法で、ライバルの客を誘導する狙いだ。

        これは面白い試みだとは思うが、一般的な日本の小売店では受け入れられないだろう。せっかく自店に来たお客が店頭の商品を調べてより安い他店に流れるというのは許すわけないので、対策としては商品のバーコードを読ませないようにするとか、そういう顧客をお断りする告知をするだろう。一方で、ライバル店からその手段で顧客を奪う方法として、このサービスを悪用して価格をダンピングした偽情報で集客しようとする企業も出てくるものと思われる。


        • 牛丼大手、3社増益 4~12月、既存店が好調
        ゼンショーホールディングスなど牛丼大手3社の2011年4~12月期(吉野家ホールディングスは11年3~11月期)の連結決算は、いずれも経常利益が増加した。ゼンショーHDと松屋フーズは新商品投入やトッピングで客単価が上昇。既存店売上高が増加した。吉野家HDは価格競争の激化で既存店は苦戦したが、原価低減で補った。


        相変わらず安値競争を互いに仕掛けて懲りない牛丼チェーン。同じ外食のマクドナルドは単価を引き上げて利益を押し上げ、今やライバルのモスフードよりもハンバーガー価格は高くても売上を伸ばしている。そういう意味で値下げ競争から抜け出る企業が出てこないと、互いの消耗戦は今後も続くのだろう。


        • 冷めるボランティア熱 震災きょう11カ月・・・ピークの1割、寒さや就活影響 「まだ必要」風化懸念
        東日本大震災の被災地で活動するボランティアが減少の一途をたどっている。発生から11カ月。雪や寒さに加え、就職活動で多忙な学生の足が遠のいているが、春になれば増えるメドもない。全国社会福祉協議会(全社協)によると、ピーク時には1日6400人いた宮城県でも50人未満の日がある。関係者は「依然として人手が必要。多くの人に協力してほしい」と訴えている。

        ボランティアは確かに大事だが、復興にかかる作業はこれからも必要なので、ここにこそ雇用対策ができるポイントだと思うが、国はこれについても各自治体任せ。

        2012年2月10日金曜日

        Feb.10 (Fri) .2012

        ◆ 日経拾い読み


        • ギリシャ緊縮策合意・・・EU・IMF、追加支援の公算
        ギリシャ政府は9日、欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)が次期金融支援の条件として求めていた緊縮策を受け入れることで連立与党3党と合意したと発表した。これを受けてユーロ圏諸国は同日夜(日本時間10日未明)に財務相会合を開き、同国向け支援の是非を協議する。金融支援が実行される公算が大きくなり、ギリシャは無秩序なデフォルト(債務不履行)の回避に向け大きく前進する。

        緊縮策のポイントは、

        (1) 歳出をGDP比1.5%削減
        (2) 新規雇用時の最低賃金を現状の750ユーロから22%引き下げ
        (3) 公務員15000人削減

        などで、年金の支給減額については合意に至らず、他の名目を削減するとの報道もあるようだ。
        ギリシャの公務員年金はほぼ現役時の給与を支給していたようなので削減すべきだと思うが、最低賃金を引き下げて年金を下げないのは確実に若年者層の負担が増大し、彼ら世代の反発を招くだろう。どのみちファーストステップをぎりぎりクリアしたようなものなので、今後も注視しておかなければEU危機はまだまだ予断を許さない状況なのは間違いない。

        • 復興庁発足、「縦割り」の壁・・・被災地の要望に一元対応 省庁への勧告、強制力なし
        東日本大震災からの復興の司令塔を担う「復興庁」が10日発足した。省庁ごとの縦割りを排し、被災地の要望を一括して受ける。9日には岩手、宮城、福島の被災3県の来年度予算案も出そろった。ただ震災から約11カ月を経て誕生した同庁に対しては、権限などの面で力不足との指摘もある。復興事業の加速を必要とする被災地には「二重行政に陥るのでは」との見方は多い。

        復興庁は各府省の上に位置づけられるそうだが、プライドの高い官僚のことだから既存省庁とのつばぜり合いが起きることは予想される。こういう組織を本当に機能させたいのであれば、

        ・ 首相直轄組織とし、所管大臣は首相権限で各大臣に指示できる
        ・ 被災地に置く復興局には地元自治体、既存省庁の出先機関からも出向させる
        ・ 東京の本部には各省庁への調整機能を持たせ、所管大臣と財務大臣が連携して予算を調整
        ・ 所管大臣は定期的に進捗を国会に報告、遅延事項は首相からトップダウンで指示

        などにより、既存省庁を強制的に動かすとともに、復興状況を国民に知らせて間接的に首相、中央官庁にプレッシャーを掛ける仕組みにしないと満足に機能しないだろう。被災地現場の要望明確化と迅速な復興支援に対するボトルネック解決、復興全体計画の進捗管理をコミットできる体制にしていかないと現場の要望するレベルでの復興がスケジュール通りには進められない。

        • 東電・政府、攻防続く 西沢社長、値上げ問題を釈明 追加賠償支援 火種に
        東京電力の西沢俊夫社長は9日、経済産業省資源エネルギー庁の高原一郎長官を訪ね、企業向け電気料金の引き上げについて釈明した。唐突な値上げに世論の反発が強いことが直接の理由だが、「公的管理」を巡る政府と東電とのつばぜり合いが背景にある。関係者が10日と想定していた賠償資金の追加援助の認定も先送りされる公算だ。

        つばぜり合いしている場合ではないような気がするが、国が東電の経営にどこまで介入するかと国がどの程度東電の経営責任を負担するかがぼやけているからこういう状況になる。東電としては上場企業としての業績に対する責任があるから収益悪化の改善策として値上げを選択しているのだし、一方で国がどれだけ赤字を出しても経営破綻させない前提にしておけば値上げというオプションは使わせずに済むわけで、値上げ=外部企業からの収入増加を狙うということは国や東電以外に迷惑をかけるわけだからまず権限と責任をはっきりさせるほうが先だと感じる。

        • MS&AD、大幅赤字 傘下2損保の再編急ぐ・・・コスト削減、合併・機能集約軸に
        今期に大幅赤字を計上するMS&ADインシュアランスグループホールディングスは、グループ内の再編を進める考えだ。自然災害による被害が赤字転落の主因とはいえ、同社の危機感は強い。コスト競争力を高めるために傘下の2損害保険会社の合併や機能別集約などの案が浮上しており、2012年度中にも具体像を決める方針だ。

        三井住友海上とあいおいニッセイ同和がくっついてできた会社だそうだが、パッと見て何の名前かわからなかった。頭文字を取って適当に付けた名前からしても、統合効果を期待するのはもう少し先のような気がする。

        • ドラギ総裁、日本に異議 「単独の為替介入、すべきでない」
        欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は9日の記者会見で、日本が2011年10月末から11月初めに実施した円売りの為替介入について「もし介入が必要なら、多国間の枠組みでなされるのが当然だ。単独で実施すべきではない」と述べた。円高阻止の介入に対する欧州側の厳しい態度を改めて浮き彫りにした。

        介入するたびに怒られるのはいつもの光景だが、そういう意味で直接介入で市場に影響を与えるよりも量的緩和を柔軟に行える仕組みを導入(現行法の改正など)が求められるのだろう。

        • マクドナルド、最高益・・・前期経常276億円 店舗大型化が奏功
        日本マクドナルドホールディングスの業績が好調だ。9日発表した2011年12月期の連結決算は経常利益が前の期に比べ2%増の276億円と、01年に上場して以来の最高益となった。郊外のドライブスルー併設店など大型店中心に利用客が伸びたほか、不採算店の閉鎖による合理化効果も表れた。12年12月期の経常利益も3%増の284億円と、連続最高益を見込んでいる。

        店舗の大型化が奏功とあるが、ハッキリいって商品の価格を高くしているから儲かっているとしか思えない。あまり利用しないから正確かどうかはわからないが、以前300~400円程度だったバリューセットが今では700~800円近くする。ナゲットとかおまけをつけると1000円超えるのだ。客単価が倍になればさすがに利益が出て当たり前だが、イメージ戦略ありきのマーケティング主体での今のやり方ではいずれ客離れが起きて値下げをするハメになるだろう。今は目玉商品に高単価のボリュームのある商品を持ってきて短期限定的に販売する仕組みが目新しくて売れているのだろうが、いずれ飽きられる。

        • ソニー・平井次期社長、TV事業再建「大胆に決断」 医療など新分野開拓も
        4月1日付でソニーの社長兼最高経営責任者(CEO)に就任する平井一夫副社長=写真=は日本経済新聞のインタビューに応じ、長期不振が続くテレビ事業の再建を軸としたグループ改革を「スピード感を持って大胆に決断する」と述べた。医療分野など新市場の開拓を目指すほか、社長就任前後には新たな経営計画を公表する方針を明らかにした。

        ソニー浮沈のカギはテレビ事業をどうするかだろう。独自技術で他社に提供できない製品を開発するか、とにかくローコストにしてコストパフォーマンス重視にするのか、そのバランス取りだと思うが、後者を目指すのならテレビ事業は売却したほうがいいと思う。次期社長の発言で気になったのは、アップルなど世界の有力企業とどう対抗していくのかという質問に対して、「はっきり言って奇策は無い。」というところだ。ソニーのかつての良さは、他社がとても開発しそうにない奇抜な製品を出す会社という期待感があったところで、それで多々失敗もしただろうが今のアップルに期待するような感覚がソニーにこそあった。バランス経営を志向するよりは失敗してもとんがったモノ作りをするようなマーケティングよりも技術を前面に出した会社になってほしいと個人的には思うが、どうなるか。

        • 通販が実店舗拡大・・・ ニッセン、渋谷に旗艦店
        カタログ通販大手が実店舗の出店を拡大する。ニッセンは3月に東京・渋谷に旗艦店を出し、2015年までに現在の10倍の約30店に増やす。ベルーナはこのほど1号店を開いた。新規客を獲得し、顧客の生の声を商品に反映させる狙い。各社はインターネット通販も手掛けており、カタログ、実店舗を加えた3つの販路を組み合わせ、収益拡大につなげる。

        いわゆるショールーム型店舗として通販顧客を増やしたい販促策の一環だとは思うが、通販事業と小売業は似て非なる業態なので、得てしてこういうのを増やしていく勢力が社内に拡大して戦略があいまいになりやすい。ネット通販ではアマゾンが国内でも圧倒的に売っている今、視点を内向きにするよりも外向きにしてシステムをさらに発展させるとかアジアに進出するとか方法はあると思うが、国内通販会社同士の動向を見ながら横並びで動いているままではジリ貧に陥る危険性がある。

        • ヤマダ電、高利益率が強み・・・今期、減収でも経常益最高 販売力と調達力が両輪
        家電メーカーが相次いで大幅赤字に陥る中、家電量販店最大手のヤマダ電機の収益が底堅い。9日発表した2011年4~12月期連結決算は減収減益だが、家電エコポイント制度と地上デジタル放送への完全移行という特需の反動が背景。12年3月期通期は6%減収へと下方修正しながら、経常利益は過去最高の1400億円を見込む従来予想を据え置いた。上昇傾向にある利益率は、ヤマダ電の販売力に頼る家電メーカーへの交渉力の強さを浮き彫りにする。

        家電各社が大赤字を出している状況の中で大手家電量販店で赤字のところは無い。つまり、メーカーの収益を安値競争を繰り広げる家電量販店と顧客が分けあっている構造なのだ。家電量販店は販売時点で大幅赤字でも、メーカーからの補填(バックリベート)で収益を確保する仕組みとなっている。家電量販各社の収益率の違いは、多少の費用構造の違いはあれど、メーカーから補填を引っ張ってこれる力の差にほかならない。メーカーが利益を出せるようにするには、家電量販店を選別・整理する方向で補填のバラマキを減らすだとか、外資系メーカーのように一切補填はしないなどの戦略に切り替えていかないと、業界の横並び・もたれ合い構造は改善しないだろう。

        • 「モスド」首都圏に初 モスフードとダスキン 恵比寿に4月、洋菓子など提供
        モスフードサービスとダスキンは4月1日、共同で展開する「MOSDO(モスド)」をJR恵比寿駅前に開く=写真はイメージ。広島県府中町、京都市に続く3号店で首都圏では初出店となる。近隣オフィスの20~40代のOLやビジネスマンの利用を見込む。

        まず名前を見て、モスバーガーとマクドナルドがひっついたような名前だと思った。グループだからなんとかしてシナジー効果を出そうとするのはわかるが、ダスキンといえばモップのイメージしかないので、飲食業のイメージとは相反するように感じるが。


        • auで通信障害 データサービス、全国130万回線に影響
        KDDI(au)は9日、携帯電話のデータ通信サービスで障害が発生したと発表した。9日午後4時11分に通信設備が故障し、通信経路を切り替えて午後5時17分に復旧した。全国で最大130万回線が影響を受け、スマートフォン(高機能携帯電話=スマホ)がインターネットにつながらないなどの障害が起きた。

        ドコモの障害が取り沙汰されていたが案の定、KDDIでも発生。いずれソフトバンクでも起きるのだろう。こういうのが起きる前に設備増強計画を発表するなりしないと、後手後手に回るハメとなる。

        2012年2月9日木曜日

        Feb.09 (Thu) .2012

        ◆日経朝刊拾い読み


        • 米軍 中国にらみ再編、「普天間移設待てぬ」
        日米両政府は8日夜、在日米軍再編計画の見直しに関する新方針を発表した。一体になっていた米軍普天間基地(沖縄県宜野湾市)の移設と沖縄の米海兵隊のグアム移転を切り離し、先行して海兵隊をグアムに移す。中国の台頭をにらみ米軍のアジア太平洋体制の強化を急ぐ。日本にとっては米側との戦略の擦り合わせが、さらに重要になる。

        日米の共同発表のポイントとしては、

        ・普天間の代替施設としては、辺野古を唯一の案として堅持する
        ・米海兵隊のグアム移転に伴い既存の米軍施設・区域の返還を普天間とは切り離して先行
        ・在日米軍再編計画の見直しは数ヶ月以内に結論を出す

        辺野古については、政府が提出した環境影響評価書にたいして沖縄県の審査会は「評価書で示された対策では周辺地域の生活環境、自然環境の保全は不可能」という結論を出し、事実上辺野古移設案を断念させる内容となっている。となると、沖縄としては普天間固定を避けるためには米軍基地の県外移転を強く主張していくこととなるであろう。しかし、県外といっても国内の既存米軍基地への分散についてはそれぞれの住民が拒否感を示すだろうから、政府としても大きな難題を抱え続けることになる(ま、すべては鳩山首相の言動が蒔いた種だが)。

        8日の玄葉外相の記者会見で、「切り離しは沖縄の仲井真知事をはじめ地元から繰り返し要望を受けたものだ」と述べたそうだが、仲井真知事は普天間を固定化してでも切り離せと言ったのではなく、あくまで米軍基地の県外移転を早く進めてほしいということの一環で言ったのではないかと思われる。

        次に米軍の再編に伴う費用負担が国会でも問題視されるだろうが、日本の判断が遅れたことによってグアム移転が計画通り進んでいないことを理由に米側としては日本により多くの負担を求めてくるものと思われる。内容としては、グアム移転にかかる費用以外に別の拠点への分散にかかる費用や、普天間の維持費などとのことだが、米国も防衛予算削減の中でさまざまな要求をしてくることが予想されているとはいえ、日本も財政難、国内では国民に多くの負担を掛けようとしている時期に押し切られてしまうことのないようにわずかではあるが希望を持ちたい。

        そして米軍がグアムをハブとして沖縄からアジア各地に分散していくことについては、米国が日本をベースに中国・北朝鮮・ロシアを臨んでいた時代から、アジア全体を俯瞰して焦点は中国に合わせるという戦略に切り替わっていくことを意味していると思うが、そうなると日本単独での防衛力はこれまでより弱まることは間違いない。そこで独自の防衛力をどのようにして高めていくか、表面上は米軍への協力支援という言葉で語られるであろうが、自衛隊の機能を強化していくことも求められる。

        アメリカは大統領選も控えており、今後の動きは流動的になる可能性もあるが、それはそれとして国内の足場がため(沖縄)や防衛大綱の見直しなどを進めておく必要がある。防衛大臣がコーヒー大臣だからそれもまた不安ではあるが。


        • システムLSI正念場・・・ルネサス・富士通・パナソニック半導体統合交渉
        ルネサスエレクトロニクスと富士通、パナソニックの3社が半導体のシステムLSI(大規模集積回路)を事業統合する方向で協議に入った。システムLSIは自動車や携帯電話など様々なハイテク製品の技術革新のけん引役。事業統合で強いLSIメーカーが誕生すれば、日本製造業の競争力の底上げにつながる。

        ルネサスはもともとNECと日立製作所、三菱電機がそれぞれ分社化していた半導体子会社を統合してできた会社だ。だから今回の統合がなされれば日の丸半導体会社になるということかも。

        • 初の日米事前協議、TPP着地点見えず・・・米が市場開放圧力、国内には根強い反対論 難航なら参加遅れ
        日米両政府は7日、日本の環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加に向け、ワシントンで初の事前協議を開いた。米政府は日本の参加に反対する自動車業界などの意見を紹介する形で、日本の市場開放を暗に求めた。ただ日本国内ではTPP反対論が根強く、与党内の合意形成が難航する可能性もある。日本政府は国内外で苦しい対応を迫られる。

        TPPは原則的に関税を撤廃する貿易自由化協定であるから、当然分野ごとにメリット・デメリットがあり、特にデメリット(不利)が大きな分野において反対論が根強くある。経済的にも参加することで対GDP比では効果が薄いとする説や、農業等の分野では大きな損失が見込まれるなどの意見もある。医療分野においては国民皆保険制度が崩壊するリスクを業界団体が指摘している。

        確かに国際競争力の無い、あるいは必要としてこなかった分野ではTPP参加によって参加国内での競争に晒されるわけで、脅威となるであろう。これまで国に関税で保護されていたから成り立っているものも崩壊する恐れはある。しかし、裏をかえせばこれまで手厚い擁護を受けてようやく成り立っていたものについては、本当にその継続必要性はあるのか?ということだ。また、保護を盾にしてこれまで国際競争力の向上に本腰を入れてこなかった業界団体(JAなど)もある。そういった負の存在に対して改革を促す役割をTPPが担う可能性はあると考える。反対意見には、外圧によって改革を迫るのはお門違いという意見もあるが、内圧では改革できなかったわけだから自業自得、断末魔の叫びといえなくもない。

        TPP参加については現在、原則としては全品目において自由化を前提として検討テーブルに載せ、各条件を煮詰めていく作業に入っているわけだが、まずは日本側の主張をきちんと伝えて取りまとめた結果について国内で議論をすればいいのではないかと思う。一度交渉に参加したらもう取り消すことはできず、どのような条件でも呑まされるような意見があるが、それはあくまで外交であるからイヤだったらテーブルをひっくり返して退席、離脱すればいいのだ。それができないのなら交渉という名の喧嘩に勝つことはできない。

        • ネット決済代行参入・・・OKI子会社事業を取得、銀聯とも提携
        みずほ銀行は今夏にも、電子商取引に使うインターネット決済の代行業務に参入する。OKIの子会社から事業を取得し、ネット通販業者に決済システムを提供する。中国カード最大手の銀聯とも提携し、みずほのサービスを利用するネット通販業者が中国の個人客とも電子決済できるようにする見通しだ。

        みずほ銀行といえば、ATMのシステムトラブルで社会問題となった銀行である。ネット決済は銀行の通信方式よりもさらに脆弱なネット環境で電子決済をする仕組みなので、当然通信エラーを前提とした設計となるが、他社から事業を買い受けてなんとかなるほど簡単なものではないのだが、自社のシステムもきちんと運用できてない銀行がうまくやれるかどうかが見ものである。


        • ギリシャ与党、緊縮策巡り最終調整・・・次期支援へ合意探る
        ギリシャのパパデモス首相は8日午後(日本時間9日未明)、欧州連合(EU)と国際通貨基金(IMF)が同国向け支援の見返りとして求める緊縮策の受け入れを巡って連立与党の3党首と最終調整に入った。首相側は既に緊縮策の素案を3党首に提示、各党が検討していた。連立与党の同意が得られれば、ギリシャは国際社会から次期支援を受ける条件の一つが整い、危機回避へ一歩前進する。

        ギリシャ国民は猛反対しているが、国としては受けざるを得ないだろう。昨日の為替が円安・ユーロ高に振れてることからも、ギリシャデフォルト危機は回避される可能性が高いと見る動きが強いのだと思う。EU諸国においてはポルトガルやイタリアもギリシャの二の舞になるのではないかと不安視されているが、シリアの内紛もそうだがあの一帯はしばらく緊張状態が続くのだろう。


        • 韓国のサムスン・LG、テレビ増産攻勢 新製品投入し価格下落回避
        韓国のサムスン電子とLG電子の2012年の薄型テレビの販売計画が固まり、赤字脱却を優先する日本勢と対照的に事業を拡大させる姿勢が鮮明になった。増産で製造コストを吸収するほか、目玉と位置付ける有機EL(エレクトロ・ルミネッセンス)テレビを年内に投入。主力製品の入れ替えを急ぎ、価格下落を抑える戦略が浮き彫りになっている。


        世界のテレビ販売シェア(11年1~9月、米DisplaySearch調べ)

        1. サムスン電子  18.9%
        2. LG電子     13.3%
        3. ソニー      9.5%
        4. パナソニック     8.4%
        5. 東芝      6.9%
        6. シャープ      6.8%
        7. TCL集団     4.4%

        国別に見ると、韓国が32.2%、日本が31.6%、中国が8.6%。テレビ事業においても携帯電話同様に韓国勢に引き離されているが、国内家電メーカーはいい加減横並びの事業展開を改めて国際的に戦える体制を作っていかないとさらにサムスン電子との差は広がる一方だろう。


        • 「食べログ」に予約機能 カカクコム、まず200店舗で
        比較サイト運営のカカクコムは9日、グルメサイト「食べログ」と連携した飲食店予約サービスを開始する。食べログに掲載している一部飲食店をオンライン上で24時間予約できるようにする。


        こういう売上につながるような施策はさらにステマ(ステルスマーケティング)を助長するような気がする。


        • ランキング ツイッターフォロワー数(国内政治家)
        1. 鳩山由紀夫  608179
        2. 橋下徹    571968
        3. 東国原英夫  465953
        4. 蓮舫     349332
        5. 原口一博   252941
        6. 猪瀬直樹   203378
        7. 河野太郎   191310
        8. 谷垣禎一   160364
        9. 小池百合子  136550
        10 舛添要一     126259

        元首相とはいえ、鳩山氏がトップなことに驚いた。橋下市長はツイッター愛用者で有名。ふと気になって若手政治家の小泉進次郎氏を見ると、2124。しかもツイートは0である。こういうツールを使うのはあまり好きではないらしい。ツイッターは使ってみるとわかるが、コミュニケーションツールではなくつぶやき、つまり一方通行の言いっ放しツールであり、あれでフォロワーが数千、数万となるとリツイートされた内容を追っ掛けることは物理的に不可能である。暇な時に話し相手が欲しくてなにかつぶやくのならいいのかもしれないが、政治家は言質を取られやすい職業でもあり、うっかり何か約束したり漏らしたりすることのないよう「やらない」と決めている小泉氏のような考え方も共感できる。

        2012年2月8日水曜日

        Feb.08 (Wed) .2012

        ◆ 日経拾い読み(目についた記事を勝手に論評)


        • 通信・商社上位に・・・上場企業 今期利益ランキング 牽引役 10年で様変わり
        企業業績の牽引役が様変わりしている。2012年3月期の予想連結純利益が多い順に上場企業をランキングしたところ、上位にはNTTドコモなど内需型の通信や、資源高で潤う商社が名を連ねた。テレビ不振と円高で苦境に立つ電機大手は、パナソニックなど5社が1千億円以上の赤字となる。日本の稼ぎ手が製造業から非製造業へ、輸出関連から内需関連へと移り、産業地図が塗り替わろうとしている。

        上場企業の12年3月期利益ランキング(単位:億円)

        予想純利益が大きい企業     予想最終赤字が大きい企業
         1. NTTドコモ 4740      1. パナソニック  7800
         2. NTT    4650       2. シャープ    2900
         3. 三菱商事  4500      3. ソニー     2200
         4. 三井物産 4300       4. エルピーダ   1100
         5. ソフトバンク 3100       5. NEC     1000

        この記事では、10年前は製造業が上位を占めていた(トヨタ、日産、ホンダ、武田薬品、任天堂)のが、通信業、商社が上位を占めるようになってきた変化を分析しているが、利益金額だけの比較ではなんともいえない。ここ数年は超円高なので輸出比率の高い企業は収益を圧迫されているし、自動車・電機などは産業構造の転換期なので一時的に低迷しているともいえる。
        また、赤字幅が大きく出ている企業の多くは収益が悪化したことでの繰延税金資産の取り崩しによる費用増加で増えているわけで、本業でここまでの赤字を出しているわけではない。なんにせよ、円高デフレ対策は一民間企業ではどうしようもないので、政府の具体的な政策が打たれないと輸出関連企業の業績回復は遅れる一方だろう。


        • 14年度以降に先送り・・・公務員人件費2割削減
        また民主党のマニフェスト詐欺が確定したわけだが、案の定公務員人件費の見直しが中途半端になりつつある。そもそも公務員人件費の削減目的が東日本大震災の復興財源としていることから手段と目的を履き違えている気がするが、民主としては2年間の時限的削減とセットで人事院の廃止(あるいは公務員給与見直しの組合関与を認める)をニンジンにしようとしてたので、そんなことするくらいならやらないほうがいい。そうなると一時的に公務員給与は下がるが、2年経てば元に戻り、その後は公務員側が好きなように給与を上げられるからである。それが問題になる頃は自分たちは野党に戻ってるだろうから後は野となれ山となれという気持ちで平気でそういうことをするのだろうか。


        • ドコモまた通信障害・・・関西、一時通話できず
        技術者が不足しているということらしいが、最近はドコモ一人勝ちという状況ではなく、直近では1月の携帯純増数が3位に転落してるわけだしそろそろNTT法を改正してもらってグループ会社の再編をできるようにしたほうがいいのではないかと感じる。


        • 9兆円介入 円高続く・・・阻止狙った「総力戦」
        円相場が対ドルで過去最高値をつけた昨年10月末以降、政府・日銀が実施した為替介入の詳細が7日、明らかになった。8兆円規模と1日としては過去最大の介入に踏み切る一方、実施を公表しない「覆面介入」を4日間にわたって実施するなど総力戦の様相。あらゆる手段を駆使して投機筋を牽制したが、円は直近も1ドル=76円台で高止まりしており、円高圧力はなお根強い。

        円高対策頑張ってますよ~ということをアピールしたいのかもしれないが、今の状況で多少の為替介入をしてもまず円高は是正されないだろう。リーマンショックやユーロ危機などでドルは4倍、ユーロは約2倍のマネタリーベースとなっており、円は1割程度のアップしかしてないから通貨流通量だけ見ても相対的に円高に振れて当たり前なのだ。財政難のアメリカに貢ぐがごとく米国債を買って外貨準備高を増やすくらいなら、円を刷って復興財源に回すとか赤字国債に回すなどすればインフレに向くうえに円高も是正できる。結構いろんな人がこういう意見を言ってる気がするがなぜやらないのか不思議だ。


        • 米、230兆円の赤字削減へ・・・10年間で、13年度の予算教書
        7日付けのウォール・ストリート・ジャーナルは、米政府高官の話として、オバマ大統領が13日に議会に提出する2013会計年度の予算教書で、今後10年間で3兆ドル(約230兆円)規模の財政赤字削減を求めると報じた。内容としては半分の1.5兆ドルは富裕層への増税、大型所得税減税の打ち切り、年間所得100万ドル超の世帯を対象にした追加の増税を盛り込むという。

        これは日本もやったほうがいい。大阪の橋下市長も貯蓄税の導入を薦めていたが、貯蓄税自体はどうかと思うが、要するに現在の日本の貯蓄のうち8割以上は老人層が持っていて、そこに眠ったお金が1000兆円を超しているわけで、それを流動的にすることは消費につながり景気を浮揚させる。こういう政策に異論を唱える人がよく「あまり富裕層に増税すると海外に逃げる」という人がいるが、年寄りは海外に行ってまで節税する人は少ないだろうから問題ない。そこまで真剣に節税を考えている人は既に海外に行っている人が多いだろうし。貧乏なわれわれからあれこれ少しずつ毟るよりもそのほうがよほど効率的だし行政コストも少なくて済む。


        • DeNAの成長鈍化・・・10~12月 経常益14%減127億円
        14%減とはいっても四半期で127億円もの経常利益を出す会社はそんなにないと思うが、どうしても同業態のグリーと比較されてしまう。ソーシャルゲーム事業は自社で開発して提供するものと他社のコンテンツを借りて、あるいは買って提供するものとがあるが、外注比率が高くなると収益性が低下する。なので安く買い叩こうとしたり、競合他社に有力コンテンツを流すまいとして業者を囲い込もうとするから係争するハメになる。DeNAは創業社長から2代目に変わったのでなんとか違いを出そうと手始めに動いたのが横浜球団買収だが、コンテンツとしては枯れつつあるプロ野球。知名度の向上には役立つだろうが、今後どうなるか。


        • 自殺対策の標語「GKB47」撤回・・・岡田副総理
        岡田克也副総理は7日の記者会見で、アイドルグループ「AKB48」をもじった3月の内閣府の自殺対策強化月間の標語「あなたもGKB47宣言!」を撤回することを明らかにした。標語は「あなたもゲートキーパー宣言!」に変更。300万円かけ作ったポスター25万枚は回収し破棄する。

        GKBというのは「ゲートキーパーベーシック」の略で、47は都道府県を意味するらしい。そもそもゲートキーパーというのが自殺予防のための手助けをする人ということをこれで初めて知った。それほど知られていないキーワードをAKB48のように認知されたいと現場の担当者は考えたのかもしれないが、かなりずれたアプローチとしかいいようがない。ゲートキーパーという横文字を使うのがどうかもそうだが、年間3万人を超える自殺者を毎年出している異常な国なんだから、もっと真剣に中長期的に自殺者数を改善するために国家として大臣を立てるなりして取り組むべきだ。

        2012年2月7日火曜日

        Feb.07 (Tue) .2012

        ◆ 日経拾い読み(目についた記事を勝手に論評)


        • 米軍グアム移転見直し・・・米、岩国に1500人打診 日本、負担減額要請へ
        今日から日米協議が始まるらしいが、グアム移転にかかる経費の一覧が載っていたが、総額102.7億ドルのうち、米国負担が41.8億ドルで日本負担が融資を含め60.9億ドル。一般的に不動産の立ち退き料は家主負担が相場としてもこの金額(=税金)はなんなのか。


        • ギリシャ 賃金・年金の壁・・・債務問題一段と混迷
        ギリシャの財政赤字削減が進まず、EUやIMFがさらなる緊縮策(年金や賃金カット)を上乗せするよう求めているが、ギリシャ国民が反発。ギリシャ政府・連立与党は落とし所を模索しているが主要労働組合は7日に大規模ストを予定している。ギリシャの債務問題は、3月に国債の大量償還を控えておりそこでデフォルトを起こすと欧州全体に波及することからドイツ・フランスが主導して支援をしているが、ギリシャ国民にとっては内政干渉に感じるレベルの内容なので、このままデフォルトを起こして破綻してしまえ、と半ば思ってそうな感じ。実質的なデフォルト回避のための支援策は今月13日までに取り纏めないと時間切れとなるため、残り1週間の攻防となる。


        • 補助金カット再浮上・・・国保組合に不公平批判、厚労省 平均所得300万円以上撤廃
        国保組合は医師、弁護士、建設職人などの同行者を組合員とする健康保険で160余りあり、加入者は計330万人いるが、国が保険給付の原則32%を補助しており、補助金の総額は年間3200億円強に膨らんでいるため、「高所得者の医療費を国が補助するのはおかしい」との批判が強かった。

        現在は平均所得の大小に関係なく一律32%を補助しているが、厚労省としては平均所得150万円未満から50万円刻みに5段階設けて32%、24%、16%、8%と8%刻みに補助率を引き下げ、300万円以上の所得者は補助率をゼロにする案を検討しているが、医師らの反発が強く、あえて火中の栗を拾おうとする民主議員も少ないことから成立は微妙な情勢とのことだが、こういうところの不公平を是正しないと消費増税に対する国民の理解を得るのは難しいと思う。公務員に限らず、高所得者への負担割合もある程度加味してさまざまな不公平要素を減らす努力が国会議員には求められており、国会議員自身の定数、給与見直しも自ら率先して行っていこうとしないと公務員や医師らの納得を得られないだろう。

        2012年2月6日月曜日

        Feb.06 (Mon) .2012

        ◆ 日経拾い読み(目についた記事を勝手に論評)


        • 年金、50代半ば以下 負担超・・・27歳、712万円収支赤字
        国民年金や厚生年金などの公的年金をもらえる額から支払った額を差し引いた生涯収支を世代間で比べると、50歳代半ば以下の世代で支払いのほうが多くなることが、内閣府経済社会総合研究所の試算でわかった。赤字の額はデフレが長引くほど拡大する。政府・民主党が着手する年金改革では、年金の負担と給付の世代間の格差を緩和するために、現在の高齢者が受け取る年金額の抑制も課題になりそうだ。

        まず試算の前提条件だが、国民・共済・厚生の各年金がごっちゃになっているのと、物価上昇率が年1%、年金積立金の名目運用利回りを4%として試算し、将来の支払額と受取額を現在価値に割り戻して計算しているということなので、まずここで各年金での支給平均額の差が見えなくなっているのと、設定条件が下方にぶれたら収支がさらに悪化するリスクが表には見えていない。ただ将来的に各年金を統合することを踏まえているのなら問題ない(公務員は反対するだろうが)。


        • 勧告期限守れぬ公算・・・1票の格差是正 衆院区割り審
        衆議院の1票の格差を是正するために、衆院選挙区画定審議会設置法は10年に1回の大規模な国勢調査に基づき、有識者でつくる審議会が見直し案を政府に勧告するよう定めている。

        すでに時間切れとなる可能性が高く、民主党は延長法案でしのぐ考えらしいが、選挙区の区割りをすると議員定数が変わることの調整が難航していることと、定数削減含めた選挙制度そのものも変えようとしているために進んでいない模様。次回の衆議院解散には間に合わないだろうが、これを改革するのもまた次期衆院選で道州制がテーマにあがるだろうからそのなかで解決するしかないような気がする。


        • 三大都市連合は同床異夢・・・大阪維新の会、国政に挑む
        橋下徹・大阪市長が代表を務める地域政党、大阪維新の会が次期衆院選で国政に進出する構えを見せている。地方選挙でかつてない強さを見せる地域政党は国政に通用するのか。

        大阪維新の会は衆院選候補者を養成する維新政治塾を開き、次期衆院選での大量候補擁立の準備を進めている。橋本市は大阪を足がかりとして日本の行政システムひいては国家運営システムに問題を提起し、解決手法として都構想を掲げて府知事選、市長選のダブル選挙で維新の会として勝利した。彼の主義主張は「明治の時代に作り上げられた統治機構は今の時代にそぐわない。そして決定しない民主主義システムを変えないと誰がトップに立っても改革を実行することはできないので、まるごとシステムを作りなおす」ということだと思うが、これは市町村、都道府県、国会、中央官庁の関係を根本から見直すということであり、相当高いハードルであることは間違いない。
        小泉内閣時の郵政民営化法案は郵政事業に携わる一部の既得権者、そしてその支持を受ける国会議員からの抵抗を受けて当初は廃案となり、解散総選挙をおこなって過半数を取って再可決した経緯があるが、これはそのスケールをはるかに超えており、実現するかどうかは現時点ではなんともわからないが、現在国会で侃々諤々と議論しても何も結論を導けない社会保障や税制、TPPや財政再建、中央と地方の枠組み見直しや公務員制度改革において、一定の答えを出せる可能性を持った集団を作り上げられるかもしれない、というかそうであってほしい。おそらく橋下市長の頭の中にはそのストーリーと実現手法ははっきりと見えているかのような受け答えをしているので、しばらく期待して見守りつつ応援したい。


        • 日本敗北、五輪に黄信号・・・シリアに1-2
        サッカーのU-23代表で争うロンドン五輪アジア最終予選で日本はシリアに1-2で負けた。これにより自力での出場権獲得がなくなったそうだが、世界中の国をやきもきさせているくらい政情不安の状態にあるシリアでもサッカーはしっかりやってるんだなと感心したり、それで負ける日本がどうなのかと思ったり。


        • 高2菅井さん優勝・・・ローザンヌ国際バレエ
        若手バレエダンサーの登竜門とされる「ローザンヌ国際バレエコンクール」で4日、日本の高校2年生の菅井円加さん(17)が優勝した。国際的なバレエダンサーの熊川哲也さんも1989年の同コンクールで金賞を受賞しており、審査員からは「菅井さんも今後世界を舞台に活躍して」と期待の声が上がった。

        どこかのテレビ番組でインタビューを受けた熊川哲也が、「これで将来安泰なわけではなく、これからどのようにバレエで生計を立てていくかを考えないと」みたいなことを言っていたのが印象的だった。バレエを取り巻く環境は非常に厳しく、特に女性ダンサーは大成するのが難しいらしい。熊川自身も若い頃からヨーロッパではかなり有名なダンサーだったが、日本ではほとんど知られてなかった。とあるテレビ番組で特集されてから脚光を浴びたような記憶がある。

        2012年2月5日日曜日

        Feb.05 (Sun) .2012

        ◆ 日経拾い読み(目についた記事を勝手に論評)


        • 米、「軽廃止」取り下げ・・・日米、7日TPP事前協議
        日本の環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加で焦点となっている自動車の市場開放を巡り、米の自動車大手が日本独自の軽自動車規格の撤廃要請を取り下げたことが明らかになった。

        交渉というものはたいてい相手の要求レベルと自分の要求レベルを把握し、そのギャップの範囲内に収めることを目的としてまずは高い要求からしていくものなので、これはかわされることを想定したジャブのようなものであろう。米の譲れないポイントは何か、日米のギャップはどの分野にどの程度の隔たりがあるかを早期に発見し取りまとめるとともに、優先テーマを定めて国内での議論を巻き起こすのが重要で、ほんらいそれはマスコミの役目だ。大手新聞社がこぞってこれらの特集を組んで各社政治・経済部の記者が見解を述べるだとか共同で討論会をするなどして国民の目を惹きつけようとしないと、なかなかこういった話題には国民の関心は集まらないような気がするが、日本のマスコミはこれまでこういう議題こそ避けてきたのも事実である。


        • 普天間 政権また難題・・・グアム移転と分離、固定化懸念
        日米両政府が在沖縄海兵隊約8000人のうち約4700人をグアムに先行移転することで大筋合意し、13日にも移転計画の見直しに関して両政府が同時発表する方向だ。

        沖縄海兵隊の基地返還については、(1)沖縄からの全面撤退(県外、国外移転)、(2)一部撤退または縮小(辺野古移転)、(3)現状維持、という方向性があり、米側のニーズとしては財政難による防衛費の縮小により在外米軍の再配置が求められているとともに、昨今の兵器の進歩により航続距離や到達距離が伸びたためより遠方から同等の防衛力をキープできるようになったことから、沖縄基地の一部縮小とより本国に近い拠点への移転について日米間で長年議論されてきた普天間基地からの移転(2のプラン)で合意したところから進んでいたところ、政権が自民党から民主党に交代したことからおかしくなってしまった。当時の鳩山首相は移転先の担保もなく(1)のプランを口にしたことから(1)の支持派が舞い上がり、沖縄としては普天間からの撤退をさせるためには(2)でやむなしとまとまっていた層までも期待をさせることになり、辺野古を持つ名護市の市長選で(1)の支持派で(2)の反対派である市長が当選してしまった。しかしその後首相の考えを突き詰めると(1)のプランは何も実現可能性を持たないまま発言していたことが明らかとなり、沖縄の選択肢は(1)、(2)双方を失う結果となってしまったのである。

        今回、米側としては民主党政権で何も進展しない沖縄問題に業を煮やし、まずは一部の兵力をグアムに移転させることから進めることを決めたわけだが、米国としては(3)の延長上で一部の兵力を移転するわけで、沖縄の悲願である普天間基地の撤退はより困難になった可能性がある。(2)の支持派も自分のところに基地を移されるのは反対だから普天間固定化に賛成に回るだろうから、沖縄県民が本当に希望するシナリオにはならないかもしれず、つくづく正しい国家観を持たない政権与党に国家運営を任せたことは間違いだったことがここでもはっきりとしている。


        • 首相、消費税10%超言及・・・一体改革「私の政権で結論」
        野田首相は4日、慶応大学で講演し、消費増税を含む社会保障と税の一体改革について「私の政権の時に結論を出したい」と述べ、今国会での関連法案成立に意欲を示した。

        持論を展開するのは構わないが、学生にこういうこと話しててもしょうがないのでは。まずは自民・公明あたりに直接出向いて納得させる努力をするのならまだしも。


        • スマホシフトにドコモの誤算・・・相次ぐ通信障害 半年で6度
        NTTドコモで通信障害が相次ぎ、半年間で通話やメールができなくなる障害が6度発生した。

        ここでは、3つの要因に絞り込んで検証しているが、(1)甘いインフラ想定、(2)ネット技術者不足、(3)iモードが足かせとなっている。スマホでは従来型の携帯電話に比べて6倍の制御信号を処理する(IPプロトコルのことを言ってるのだろう)らしく、データ量を見誤った、それに対応できるだけのインフラを整えられなかったということになっている。これはNTTグループ全体で考えるとネット事業者であるNTTコミュニケーションなどではプロバイダ事業もやっているわけで、(1)と(2)については甚だ疑問ではあるがグループ内子会社間の仲が悪いのならあり得なくもない。単純に考えればグループ間でリソースを融通すればいいだけのように思うが。(3)については、もともとインターネットで利用されていた機能を従来型携帯で使えるように開発されたのがiモードなのだから、割りきって一部のサービス継承は切り捨てるなどすればいいと思うが、iモード担当部署としてはなんとかして多くの機能を使えるようにしようとして結果的にシステムが複雑化してしまい、障害発生確率が上がっていったのだろう。

        結局はドコモのスマホ契約件数が1000万台と他社の2倍近く普及しているから、想定以上のトラフックが発生したのでは?と最後にまとめてあるが、これが答えのような気がする。ドコモを利用するユーザーは「ドコモだったら安心」という潜在意識で利用している人が多いと思うが、ドコモの設備で今回のような障害が起きるということはすなわち他社のインフラもドコモ並みにスマホ利用者数が増えていくと同じ問題が起きる可能性が高い。日本の企業というのは、こういうときに他社を嘲笑って自社のサービスを薦めて数字を伸ばそうとする向きがあり、結局同じ問題を引き起こして一体何を見てたのやらという、これまた横並び好きな企業が多いが、今回のドコモを他山の石としてインフラ増強のための投資を前倒しで実施していくことが肝要である。

        2012年2月4日土曜日

        Feb.04 (Sat).2012

        ◆ 日経拾い読み(目についた記事を勝手に論評)


        • パナソニック最終赤字7800億円・・・環境軸に収益改善急ぐ
        従来損失予想の4200億円に加えて子会社化した三洋電機の減損処理2500億円などが加わり、製造業としては過去最大規模の損失となる見込み。
        三洋電機は株式交換によりパナソニックの完全子会社となり、1/1より新体制に移行している。旧三洋電機ブランドはほぼなくなり、すべてパナソニック商品に統合される。三洋電機単体で売上高1兆円超、10万人を超える従業員を抱える大企業だがこの流れは吸収合併に等しい。三洋電機側のモチベーション低下による収益減も予想されるが、そういう意味でお荷物を背負ったパナソニック本体が構造改革を達成できるかどうかが来期のカギとなりそう。


        • 米軍グアム移転見直し・・・米政府が通告、普天間移設と分離
        当初予定していた在沖縄海兵隊のグアムへの移転規模8000人を4700人に減らし、ハワイやオーストラリアに分散配置する。これにより普天間基地の移設問題が切り離され、日本にとっては最悪の普天間基地固定化のリスクも出てきた。政府としては名護市の辺野古への移設案を貫きたい方針だが、現在の名護市は移設反対派の市長なので地元の合意はまず得られそうにない。そもそもこういう状況に貶めた鳩山元首相の責任なのだが、本人はどこ吹く風みたいな顔で国会議員を続けているし、さすが民主党というしかない。彼の一番の責任は、オバマにまかしとけって口約束をしたことではなく、「国外、最低でも県外」とできるかどうかわからないことを発言したことでもなく、名護市長選で反対派市長候補を容認して当選させてしまったことだ。それによって辺野古への移転の道が実質的に閉ざされてしまい、日本は次善策を失ってしまった。


        • 大学1・2年生はや参加・・・ユニクロ会社説明会、学年不問・通年採用へ始動
        ユニクロは3日、大学生の学年に関係なく通年で採用活動を実施すると表明してから初めての会社説明会を実施した。765人の出席者のうち、大学1、2年生は約30人。柳井会長兼社長は求めている人材像や、「衣料品業界で世界一になる」という目標などを約40分間語った、とある。
        就職内定を早めに出して人材確保を前倒ししたい企業側のニーズと、就職難で少しでも早く内定を得たい学生のニーズは合致しそうだが、就職協定に反していることもあり、今後この事例に続く企業が増えてきたら問題視されるかもしれない。

        2012年2月3日金曜日

        Feb.03 (Fri) .2012

        ◆ 日経拾い読み(目についた記事を勝手に論評)


        • 東証、リスク管理に甘さ
        2/2、東証で株式など241銘柄の売買が半日間にわたってストップした。システムの不具合によるものだが通常はバックアップシステムに瞬時に切り替わるものが今回はそれがうまくいかなかったらしい。その原因については現時点ではわからないとのこと。

        記事中に障害の経過が記載してあったが、

        01:27 情報配信システムのサーバーの1台が故障
        02:30 データ処理は予備の2台に自動的に引き継がれたと判断 (a)
        07:40 自動切り替えが行われておらず、情報配信ができないと気づく
        08:45 手動による強制切り替えを実行
        08:50 241銘柄の売買停止を発表
        09:00 午前中の取引開始
        10:00 予備のサーバーへ切り替えにめど
        11:15 午後の取引開始時刻(12:30)から取引再開と発表

        という流れになっているが、問題は(a)時点での対応である。通常は数秒でバックアップシステムに切り替わるものがそうならなかったのは仕方ないとして、なぜ切り替えができてないのに気づくのが5時間後なのか?問題に気づいて(07:40)結果的に切り替えるめどがつく(10:00)のに約3時間かかったことを考えると、(a)の時点で処理していれば9時の取引開始には間に合っていた。
        システム管理を社内あるいは外部委託しているのかは知らないが、チェックが複数からなされていないことがうかがえる。最近の株取引はコンピュータにより高速かつ自動で処理されているようなので、証券会社側の取引インフラ増強も大変なんだろうが逆に言えばその対応がきちんとできない取引市場は世界の投資家から見放されるということでもある。


        • 欧州危機の波及警戒・・・FRB議長、政府の取り組み促す
        米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長が2日の議会証言で、米財政の行方について欧州債務危機の波及懸念なども念頭に置いた強い警告を発し、政治努力を強く促した。などと米国の財政赤字の見通しや議会の状況が述べられているが、別ページで日銀総裁のコメントも記事になっており、そこでは日米の金融政策には違いがないと日銀総裁が述べた程度の内容となっている。

        仮にも日本の経済新聞を標榜してるのなら、こういう日米の金融当局トップの扱いにもうちょっと配慮するとかバーナンキ議長レベルの記事になるよう取材をするとかできないのか。2つの記事を比較するとまるで日本の金融政策は米国盲従してますよ、と忠犬ハチ公のごとく日銀総裁が扱われていることに違和感を感じた。


        • 米フェイスブックが上場申請
        利用者数8億人超、1日あたりのコメント数27億件、1日あたりで投稿される写真数2億5000万枚のフェイスブックが米証券取引委員会(SEC)に上場申請書類を提出した。時価総額で1000億ドルを超えるといわれる過去最大の上場案件となるようだが、マーク・ザッカーバーグCEOはこれまで上場をなるべく回避しようとしてきたといわれる。急激な利用者の増大とともに求められるシステムインフラや社員の確保などに、これまでの資金調達方法では限界が来たということなのだろう。
        急成長した企業はその規模に会社の実態が伴わず、急降下することも多い。弱冠27歳のCEOがモンスターと化したこの企業をどう手懐けていけるかにかかっている。


        • ソニー「痛み伴う改革」・・・今期最終赤字2200億円 新体制、不採算事業は撤退
        2012年3月期の連結最終損益が2200億円の赤字になる見通しを発表。テレビ事業については2014年3月期までに黒字化を目指すとしている。
        そもそもテレビ事業単体で見ると2300億円の赤字。全社の損失を上回る赤字額で8年連続の営業赤字となっている。今期はサムスン電子との液晶パネル合弁の解消による特別損失も特殊要因としてはあるが、以前のトリニトロン管テレビのように「ソニーじゃないと手に入らない商品」が存在しないことが赤字体質となっている要因に思える。今さらながら事業の選択と集中を思い切って断行できるかどうかが新社長の見極めどころになりそう。


        • グリー経常益800~900億円・・・今期2度目の上方修正
        売上高は1600~1700億円、売上前年比で2.5倍、経常利益で2.6~2.9倍の大幅な伸び。ゲーム内のアイテム課金などが大幅に伸びたことによるものらしいが、絶好調の会社。もともと楽天をスピンアウトして立ち上げた田中社長だが、今後は海外進出もするようでうまくすると楽天を超えるかもしれない。